Ageless Life 2017年11月24日

「年齢」は年月ではなく、
「考え方」で決められる

長井鞠子さん(74歳)

国家元首、総理大臣、閣僚、都知事、国連事務総長などなど・・・各国要人や各界著名人の随行や記者会見通訳を多数手がける長井鞠子さん。担当するジャンルは政治・経済のみならず、文化・芸能、スポーツ、医薬、金融、法律、科学、ITほか、あらゆる分野にわたります。70歳を過ぎてなお年間200件もの業務を請け負うトップ通訳者のライフスタイルに迫りました。

「仕事が楽しくて、それが喜びになっている」と長井さん

人間は心から老いていく…

会議通訳者として第一線で活躍すること半世紀。長井鞠子さんは今も年間200件の「現場」に立ち続けています。今年7月に首脳級・閣僚協議の通訳業務のため、欧州に出張しました。

 
同時通訳する際のメモ。重要ワードはあらかじめ控えておく

長井さん 「通訳は格闘技」と私はよく言うのですが、様々な発言に即応する瞬発力が求められるので何千回経験しても緊張します。ただ、若い頃よりも経験を積んだ今のほうが言葉の選び方などに余裕を持って対応できているし、より良いプロダクト(産品)を提供できていると自分では感じます。年輪を無駄に重ねていないと思いたいだけかもしれませんが(笑)。

「格闘技」という表現は、文字通り体力面にも当てはまるようです。

長井さん 分刻みのスケジュールで各種の協議が行われる国際会議では会場から会場へ駆け足で移動しなければならないことが多々あります。今回の欧州出張の現場もそうで、同時通訳のブースへ全速力で走りました。すぐに通訳を始めたのですが「私…は…みなさん…に…お会い…できて…」と、かなり息切れしてしまって(笑)。けれども自分自身で老いたなと決めつけてしまうことが本当の老いの始まりだと思うんですね。英語で言えば、You are as old as you think you are.年齢とは生きている年月ではなく、自分自身の思考しだいで決まるものではないでしょうか。

新たな「知識」に出会える喜びがエネルギーになる

若さを保つエネルギー源は「順不同で、仕事・音楽・友達の三本柱」と長井さん。

長井さん 通訳の仕事を始めた時から楽しくて、生きる喜びになっています。「あなたのおかげで会議がうまくいった」といった感謝の言葉も励みになるし、自分なりの手応えや達成感もパワーになります。もちろん失敗する時もあるし、嫌な思いをする時もある。それら全てを含めた「成果」が私を突き動かしていると思います。

(右)長井さんが愛用する電子辞書。通訳ブースに必携のアイテム。

通訳者はその都度、政治や経済、法律、科学、文化などの専門的な資料を読み込まなければなりません。

長井さん それも楽しい。たとえば唐代の宮廷におけるイエズス会の影響など、普通は「えっ、それが何?」ですよね。けれどもその中にも気づきがあるし、既に知っている内容であっても何かしら新鮮な発見がある。新しい知識に出会う喜び、それも私のエネルギーになっています。

趣味と友達、プライベートでもエネルギーを

 「嫌なことをしてもエネルギーは出ない」と語る長井さん。仕事以外でエネルギーが出るのは、大好きな音楽だそう。趣味のヴィオラは丸の内交響楽団でトップ(首席奏者)を務めたほどの腕前。現在も年に4回は演奏会に参加しています。長井さんにとって音楽は単なるストレス解消、息抜きにはとどまらないそうです。

長井さん 演奏中、体の細胞全部に聖なるパワーが浸み込んでくるような瞬間があって……。音楽を表現することには他では得られない素晴らしい感動があります。お客様のために奏でるコンサートなのでやはり緊張しますが、その高揚感も大好きなのでどんなに忙しくてもやめられません。

そして、長井さんが仕事、音楽と同じように大事にしているのが「友達の輪」です。

長井さん 会社の同僚、音楽の仲間、大学時代からの旧友、社会活動で知り合った人たちと、思い切りおしゃべりをする。その楽しい気持ちが「よし、頑張ろう」というエネルギーにもなるんです。3年ほど前からは京都の冷泉家で和歌を習っています。恰好よく言えば日本語の研鑽のためですが、要は私の日常――横文字を駆使するバタ臭い仕事――にはない平安貴族の世界を経験したいというミーハー精神(笑)。また一つ、友達の輪が広がりました。

The sky is the limit.(人間の可能性は無限大)

後進を指導するワークショップなどで「通訳者にはどんな特質が必要ですか?」とよく質問されるそうです。

 
「あれもこれもしてほしい。この年になったらワガママでいいじゃないですか(笑)」と話す長井さん

長井さん 「まず人間に興味があること」と答えています。好奇心に溢れていて人付き合いが大好きという私のようなタイプ(笑)。人間ほど面白いものはないじゃないですか。このことは年齢にとらわれずに人生を楽しむヒントにも通じると思います。私は通訳を志す若者たちによくこんな英語の諺を伝えます。The sky is the limit.要するに青天井、人間の可能性は無限大なんです。私の同世代にとっても全く同じだと思います。年齢を理由に諦めるのではなくて、いつまでも「あれも、これも」と我がままに活動してほしいですね。

最後に「私も90歳までは三本柱のライフスタイルを続けるつもりです」と長井さんは乙女のような笑顔で話してくれました。

長井鞠子さん プロフィール

宮城県仙台市生まれ。国際基督教大学卒業。1967年、日本初の同時通訳エージェントとして創業間もないサイマル・インターナショナルの通訳者となる。以降、日本における会議通訳者の草分け的存在として、先進国首脳会議(サミット)をはじめとする数々の国際会議やシンポジウムの同時通訳を担当。

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