Ageless Life 2018年01月11日

次の世代に繋がる
「何か」に挑戦し続けたい

須賀次郎さん(82歳)

日本・世界のさまざまな海に潜り、誰も見たことのない美しい景色を伝えてきた須賀次郎さん。文部省社会体育指導者資格付与制度をスクーバダイビングに導入するなど、さまざまな功績のあるダイビング界のレジェンドですが、80歳を超えた現在も海に潜り続けています。日本のダイビング史と共に歩んだ須賀さんの熱き人生についておうかがいしました。

50年以上、日本各地を潜ってきた唯一の職業ダイバー

できることは潜水だけ…気がつけば60年経っていた

82歳の現役プロダイバー、須賀次郎さん。1957年、東京水産大学(現東京海洋大学)3年の時に潜水部を創設して以来、海洋調査や水中撮影、スクール運営などの第一線で活躍し続けてきました。日本にスクーバダイビングが「伝来」したのは潜水部誕生のわずか4年前、1953年のこと。まさに草分け的レジェンドです。

須賀さん 子供の頃から海が大好きで、ずっと素潜りしていました。その延長線上で水産大に入って、実習で初めてスクーバダイビングを体験して、日本の大学では初となる潜水部まで立ち上げてしまった(笑)。そして卒業する時に、海に関わることで誰もやっていないことを仕事にしたいと考えた。ただ、僕にできることと言ったら潜水だけだったので、そのままダイビングを続けて、気がつけば60年経っていたという感じです。

現在もレギュラーで月におよそ8回もダイビングをしている須賀さん。約30キロにもなる機材をつけて潜る姿は健康そのもの。ちょっとしたことぐらいでは「まず休むことがない」と言います。

須賀さん 都内のプールで講習が月6回。そしてお台場で月1回、千葉の館山で月1回。お台場は1993年から海のクリーンアップのために始めて、もう四半世紀近く続けているライフワークです。1回でも休むと技術がガクンと落ちる気がして休めない。今月はさらに海洋生物の調査で早稲田大学の教授と一緒に奄美大島に行く予定です。この調査も10年ほど続けています。

80歳を超えた今でもプールでトレーニングをし、月に数回は海に潜水している

いくつになっても、自分だからこそできる「役目」がある

1980年代半ばには「ニュースステーション」(テレビ朝日系)で、愛娘の潮美さんと水中レポートを担当していました。番組のために須賀さんがプロデュースしたフルフェースマスクは今も世界的な人気アイテムだとか。また、2011年3月の福島第一原発の事故後、同11月からは原発から40㎞ほど離れたいわき市の久ノ浜を拠点に海洋調査に取り組んでいます。

須賀さん プロで潜るということはお金をもらうこと。請求書をいつまで書けるのかというのが80歳を過ぎた僕の最大のテーマです(笑)。もう昔のようには潜れない。けれども今は今で、僕が大丈夫ならみんな大丈夫だという「炭鉱のカナリア」みたいな役目があって、60年もやっていれば危険回避の判断力が人よりもあるから、まだ誰かが頼りにしてくれるんですね。福島の海の調査は、本当は僕ら零細業者ではなくて、もっと大きな組織がやるべきことなのでしょうが、でも、何か始めずにはいられなかったですね……。

東日本大震災後「自分にできること」と思い福島での調査潜水に取り組む

須賀さんにとってダイビングの何が魅力なのか。改めて聞いてみました。

須賀さん 僕らは普段、地面に足を着けて歩いているじゃないですか、重力のおかげで。でも、海の中の環境というのは、いわば無重力の状態。例えば海の中に階段があったら、ポンと飛べばスーッと登って行けるわけです。これって、水中でしか味わえない楽しさ。いろんな生き物との出会いとかも楽しいけど、僕にとってはそんな「身体のコントロール感」というものが一番の魅力。なので、有害なガスが発生していようが泥で濁っていようが、潜ればどんな海でも楽しい。そんな風に感じられる人はずっとダイビングを続けられると思いますね。

メンタルとフィジカルのバランスが重要

 80歳を超えてもアクティブな須賀さん。驚くことに、特に健康を意識した食生活やトレーニングなどはしていないそうです。

須賀さん 30歳ぐらいまでは不摂生をしていましたが、それ以降はタバコもやめ、お酒も58歳でやめました。食事で特に注意していることはなく、好きなものを食べますね。調査に行った先でおいしいものを食べるのは楽しみの一つです。強いて言うと、できるだけ多く潜水したり、泳いだりするのが健康法でしょうか。最低でも月に8回は潜るか泳ぐかします。ダイバーはフィジカルとメンタルを頭の中で常に分けて考えているんですよ。自然を相手にするのでどちらも大事。両方のバランスをとるスポーツだと思います。

コンスタントに潜り続けることそのものが、須賀さんの健康な体を作っているのかもしれません。また、須賀さんはかつて80歳で80メートル潜水への挑戦も考えていたことがあるそうです。

須賀さん まわりがうんと言わないんだよね。道具は作って練習もしているんだけど、まわりが賛成してくれない。この80歳という計画は個人的なこと。社会のためになってはないので、今はちょっとストップしています。だけど諦めてはいない。これから先、どんどん年とっていくわけだから記録はのびていく。

僕の思いは、きっと誰かが受け継いでくれる!

人生では「継続すること」が一番大事だと須賀さんは強調します。

須賀さん ずっと続けてきたモノの中に何かがあるはずなんですよ。僕の場合は、お台場の海に毎月1回20年以上潜っている。でも、ようやく今頃になって発見したことがあって……。潜る度に何カ所か定点を撮影してきたけれども、本当は定線(決まった線をカメラを回しっ放しにして移動して撮った)動画をノーカットで保存しておくのがベストだと、つい2カ月前に気づいたわけです。僕の主観を通して編集した映像よりも、ナマ素材の動画のほうが記録としての価値は高い。今のデジタル技術なら簡単に大量に保存できるから、失敗したなと思って……。でも、20年以上続けてきたからこそ、そんな技術も出てきたし、新しい気づきもあったたわけですよね。早速、前回から360度撮影のノーカット動画の保存を始めています。

 
須賀さんの事務所にはこれまで撮影した映像が

82歳にして始める新しいチャレンジ……。その原動力は何なのでしょうか。

須賀さん 命は有限だということはよく分かっています。だから僕ができるのは、あと1年か2年かもしれない。でも、こんな風にやるんだということを誰かが理解してくれて、受け継いでくれるような何かを、次の人が続けられるような何かを手掛けておきたいんです。そうすれば僕の命みたいなモノが、ずっとつながっていくような気がします。そう思えば、途中でダメになっても、まあ、いいじゃないですか(笑)。

年齢にとらわれずに挑戦し続けて、後は次の世代に繋ぐだけでいい――チャーミングな笑顔でレジェンドダイバーが教えてくれた「エイジレスライフ」の秘訣です。

「最終的には諦める時はくるけれど、ダメなところまでやってみるのが大事」と須賀さん

須賀次郎 プロフィール

1935年、東京生まれ。東京水産大学増殖学科卒業。潜水機材の製造販売会社に勤務した後、1969年に水産関連・海洋調査をするスガ・マリンメカニックを設立。1986年、アアク・フアイブ・テレビを設立し、「ニュースステーション」の水中レポートシリーズをつくり出す。1996年には60歳を記念してテクニカルダイビングを行い、水深100mへ潜水する。現在はNPO法人日本水中科学協会代表理事。

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