Ageless Life 2018年02月21日

100歳になっても、
鳥のように大空を飛んでいたい

高橋淳さん(95歳)

世界最年長事業用パイロットとしてギネスワールドレコードを持つ高橋淳さん。戦時中から飛行機に乗り、95歳の今でも元気に飛行機を操縦しています。日本飛行連盟名誉会長を務めるかたわら、なぜ今も飛行機に乗り続けるのか──名実ともに日本飛行機界の伝説に、その健康の秘訣を伺いました。

「飛行機が大好きで、いろいろな飛行機に乗ってきました」と高橋さん

肉体年齢は75歳? 変わらない「数値」

「飛行機の神様」こと、現役パイロットの高橋淳さん。95歳になった今も静岡県の富士川にある静岡県航空協会で、グライダーや軽飛行機の教官や曳行パイロットを務めていて、週に1回は生徒さんと一緒に大空を飛び回っています。

高橋さん ライセンスの更新のために年1回、必ず身体検査を受けているけど、ここ20年ほど全く数値が一緒なんですよ、どういうわけだろうね(笑)。100歳になっても飛行機に乗るのが目標ですが、この分だと大丈夫そうかな、肉体年齢75歳なら。

今でも週に1度は飛行機に乗り込む。「95歳と思って生活はしていません」

パイロットになろうと高橋さんが心に決めたのは小学生の時でした。

高橋さん 小さい頃から飛行機が好きで、オモチャも模型飛行機ばかりでした。ろうそくの火で竹ひごを自分で曲げてね。そして、小学5年生の時に初めて「本物」に乗った。東京日日新聞(現毎日新聞)に勤めていた兄が特別に新聞社の飛行機に乗せてくれたんです。昔の飛行機だからむき出しでね、僕は飛行帽をかぶって、兄の膝の上に座って。それはもう、素晴らしかった。その時に僕の将来は確定しました。絶対にパイロットになろうと。

高校を卒業後、大学に進学する道もありましたが、あえて海軍兵学校(予科練)を選んで、パイロットを目指します。

高橋さん 当時は徴兵検査がありましたから、大学へ行っても結局は軍隊に行くことになる。それなら最初から予科練のパイロットコースへ行った方が早いなと。まだ戦前だったしね。4年くらいで軍隊を辞めて民間でパイロットを続けようと思っていたわけです。ところが、茨城県の百里原にあった海軍の練習航空隊に入って、すぐに先の大戦が始まっちゃってね。

過去は戻らない、先の楽しみを常に考える

戦況がどんどん悪くなる中で、高橋さんはマレー半島やニューギニアへ出撃しました。

高橋さん 人員不足で、いきなり経験のない僕も魚雷を落とす大型機のキャプテンを任された。10機行ったら5機は帰って来ない激戦地でね。銃弾があめあられと飛んで来る中でどうやって操縦したらいいか、マニュアルなんてなんにもない。だから自分でアレンジするしかない。それでも無事に帰って来ようと、必死で生き残ったわけです。過去は絶対に戻らない、先の楽しみだけを常に考える。そんな精神的な強さが、あの時に養われたのかなと思います。

戦後、社団法人「日本飛行連盟」勤務などを経て、49歳の時にフリーランスのパイロットとして独立。航空測量や航空写真、テスト飛行などに携わります。

高橋さん 飛行機というのは、同じ機種ばかりに乗っていると違う機種に乗れなくなるものなんです。車でも1000cc、2000cc、3000ccで運転の仕方が違うように、飛行機も、機体のパワーに合った操縦をしなければ言うことを聞いてくれません。その点、僕はいろんな飛行機に乗ってきたのでどんな飛行機でも大丈夫。フリーでも十分に飯が食える自信があったし、自分の好きなように飛びたいという思いも強かったしね。頼まれれば、愛好家の手作り飛行機にも喜んで乗りました。

過去は戻らないので、いつも先の楽しみを常に考えているという

年齢を忘れて、好きなことを大いにやる

 長く現役を続ける秘訣を尋ねると、高橋さんは「仕事が好きなこと!」ときっぱり。

高橋さん 自分が好きなことで生活できれば一番楽しいでしょ、お金もうけはできなくても(笑)。だから僕はすごく幸せです。生活のために、あまり好きでもない仕事に就いて頑張っている人も多いかもしれない。でも、定年退職する年齢は60歳や65歳でしょ? 95歳の僕に言わせれば、まだまだヒヨコ(笑)。定年を迎えてからでも全然遅くないので、自分の好きなことを大いにやっていただきたいなと思いますね。

飛行機の魅力は「少しは鳥に近づいたかな」という楽しみだそう

「鳥のように自由に空を飛ぶ。それがパイロットの究極の理想」と高橋さん。最後に健康の秘訣を伺いました。

高橋さん 普段は全く年齢を意識していなくて、何か嫌なことを断る時だけ95歳になっちゃう(笑)。一番大切なのは、ストレスをためないことかな。食事は「腹八分目」がいいと言うけど、満腹もストレスなんですよね。だから僕は昔から腹一杯になるまで食べたことがない。深酒もしない、適量はジントニック1杯。そのせいかな、めったに風邪を引かないし、引いても栄養剤を飲んで寝てれば治る。あとは散歩。毎日30分以上歩いています。

高橋さんは「昔からメモを持ったことがない」と言います。今回の取材日時もテーマも全部頭の中に入っていたとか。「やっぱり人間は一生、頭を使わないといけないんじゃないかな」そう微笑んで立ち上がった長身痩軀(そうく)は、まさに「颯爽」そのものでした。

 
「この年になって体を鍛えようってのは無理。現状をいかに維持できるかですね」と高橋さん

高橋淳 プロフィール

1922年、東京都生まれ。社団法人日本飛行連盟名誉会長。赤十字飛行隊第4代隊長。1941年、日米開戦の年に甲種飛行予科練習生として海軍に入隊、太平洋戦争に一式陸上攻撃機のパイロットとして従軍。戦後は小型機とグライダーの世界に没入し、フリーパイロットなどとして活躍。1977年には航空スポーツに尽くした人に贈られる国際航空連盟の世界的に名誉あるFAI国際航空連盟 ポールティサンディエ賞を受賞。2014年には現役最年長事業用パイロットとしてギネスワールドレコードに輝く。

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