栄養トピックス 2017年8月23日

便通改善の新たな食物繊維、知っていますか?

若い女性に多いと思われがちな便秘。実は、50代以降では男女ともに便秘に悩まされている方が多く、その割合は年齢を重ねるほど増加傾向にあることがわかっています1)。便秘改善のために、水分補給や適度な運動のほか、食物繊維を含む食材や製品を試してみたものの、期待するほどの変化が感じられず、長続きしなかったという方も多いのでは? 新たな食物繊維として注目されている「グアーガム分解物」は、便通改善のために、医療現場でも利用されています。グアーガム分解物などの食物繊維の働きや特徴を紹介し、食生活への上手な取り入れ方のヒントをお届けします。

次世代の食物繊維! キーワードは「高発酵性」

「グアーガム(Guar gum)」は、インドやパキスタン地方で栽培されている「グアー豆」を精製して得られる食物繊維です。食物繊維とは、食物中に含まれている、人の消化酵素では消化されない成分の総称で2,3)、水に溶ける「水溶性食物繊維」と、水に溶けない「不溶性食物繊維」の2つのタイプに分けられますが、グアーガムは水溶性食物繊維に分類されます。グアーガムは粘り気がとても強いため、食品加工性を向上させるために酵素処理によって粘り気を弱くしたものを「グアーガム分解物」といいます。

一般的に、食物繊維の保水力によって便に適度な軟らかさが与えられるほか、食物繊維が便の量を増やす材料となることで、便秘予防が期待できます3,4)。グアーガム分解物は便の量や排便の回数を増やして便通を改善することが知られていますが5)、「高発酵性」であるグアーガム分解物にはもう一つ大きなメリットがあります。

発酵性の食物繊維は腸内細菌によって発酵分解され、その際、酢酸や酪酸などの短鎖脂肪酸がつくられます6,7)。短鎖脂肪酸は大腸の細胞のエネルギー源となったり、大腸の「ぜん動運動」を促したりします。また、短鎖脂肪酸がつくられることで大腸内が酸性の状態に傾くため、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌は生きたまま、酸性に弱い悪玉菌だけが減少し、結果として腸内環境が整うのです。このような発酵性は水溶性食物繊維の一部で認められており、なかでもグアーガム分解物は高発酵といわれています8)

グアーガム分解物を摂取した場合の便通の変化を調べた実験では、排便の回数や便の量が増えただけでなく、便の水分量を適切に調節して、よりスムーズなお通じを促すことが実証されました5)。グアーガム分解物は、便通の改善だけでなく、軟便傾向の方にも応用できることから、医療現場でも食品に利用されています9)

おなかの調子が悪いと、同僚や友人との食事の誘いに前向きになれなかったり、出掛けたとしてもお腹の調子が気になって心から楽しめなかったりしますよね。まずは正しい生活習慣を心がけ、毎日の食事の栄養バランスを見直してみましょう。「結局、何を試しても無駄……」とあきらめず、自分の体に合った食物繊維をプラスして、まずは規則正しいお通じを手に入れることからはじめてみませんか?

<グアー豆>

<参考文献>
  1. 1)「平成 28 年 国民生活基礎調査の概況」(厚生労働省)
  2. 2)「e-ヘルスネット 食物繊維(しょくもつせんい)」(厚生労働省)
  3. 3)「e-ヘルスネット 食物繊維の必要性と健康」(厚生労働省)
  4. 4)安田和人、 図解 栄養の基本がよくわかる事典. 西東社.(2006)
  5. 5)大和谷和彦、桑野和民、鈴木淳子、三田村敏男、関谷啓治、
    グアーガム分解物がヒトの便通に及ぼす影響. 応用糖質科学. 42(3)251-257(1995)
  6. 6)栄養機能化学研究会、 栄養機能化学(第3版). 朝倉書店. (2015)
  7. 7)田中明、蒲池桂子、あたらしい栄養事典. 日本文芸社. (2016)
  8. 8)下田妙子、臨床栄養学 栄養管理とアセスメント編(第2版). 化学同人. (2010)
  9. 9)石原則幸、高橋樹世、近藤如子、小笠原豊、ジュネジャ レカ ラジュ、 グァーガム酵素分解物を使用した特養施設入居者の排便コントロール. 日本食生活学会誌. 22(4)315-319(2012)

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