栄養トピックス 2018年01月11日

体内時計を意識した生活してますか?
時間栄養学から見直す食生活習慣

毎年秋になると話題になるノーベル賞。日本人の受賞をきっかけにテーマに注目が集まることも近年は増えてきましたよね。2017年の受賞テーマの中に私たちの健康と深く関わるものがあることをご存じでしょうか? 2017年ノーベル医学生理学賞は、体内時計をコントロールする「時計遺伝子」を発見し、その仕組みを解明した米国の3氏に贈られました。この「体内時計」は、栄養学や薬理学の観点からも注目されている最先端の研究分野の一つです。例えば、1日の中で最も記憶力がよくなるのはお昼ごろ、そして運動能力が最大になるのは夕方1)といわれるように、人が行う活動には「最適な時間」というのがあります。これは脳や体の働きが、1日の中でも変化していることと関係しています。今回は、「体内時計」を知って、それに合わせた食生活について考えてみましょう。

朝日でリセット!体内時計を整えることから始まる健康毎日

私たちの体内時計は約24時間の周期で刻まれています。体温や血圧、ホルモン分泌などは約24時間の周期で変化しています。ヒト以外にも多くの生物が同様のリズムを持つことから、生物進化の過程で地球の自転周期に合わせたリズムが獲得されたことがうかがえます2)

ヒトの体内時計は2種類あります。主となるのは脳の視床下部(視交叉上核)というところにある「主時計」で、さらに臓器や、筋肉や皮膚などの組織には「末梢時計」が存在します3)

「主時計」を動かす元となるのが「時計遺伝子」です。2017年のノーベル賞は、世界で初めて時計遺伝子の単離に成功した研究者らに贈られました。彼らが見つけたのは「period(ピリオド)」という時計遺伝子で、これを元に作られる「PER」というタンパク質は、夜の間に蓄積して昼には分解されます。このようにPERタンパク質の量が約24時間周期で変動することで、体内リズムはつくられているのです4)

さて、ここまで体内リズムの周期が「約」24時間となっていることに気づかれたでしょうか。ヒトは1日24時間というルールで生活を送っていますが、体内時計の周期はキッカリ24時間ではなく、実際には24時間よりも少し長い周期です。そのため何もせずに放っておくと少しずつリズムがずれていきます3)。夜更かしや時差ボケの経験がある方なら、体内時計がずれると体の調子が悪くなることはよくご存じでしょう。健康を保つには体内時計を私たちの「24時間」に合わせることが重要です。そのために「主時計」のリセットボタンの働きをするのが「光」です。時計遺伝子の働きは光による影響を受けることから3)、毎朝決まった時間に朝日を浴びることが、体内時計の調節には大変重要なのです。

体内時計のリズムを生み出すために大切な「朝食」

もう一方の「末梢時計」は主時計と異なり、心臓や肝臓などの臓器や、筋肉や皮膚などの組織に存在して、それぞれ独自のリズムを刻んでいます。末梢時計と主時計の関係は、さながらオーケストラの奏者と指揮者のようなもので、主時計の指揮のもと、末梢時計は協調して体のハーモニーを保っています1)

末梢時計は主時計と異なり、光に反応して調節されることはありません3)。それでは、各組織でバラバラに動く末梢時計を調節するものは何でしょうか? その答えの中心にあるものは「食事」です3)。マウスを使った実験から、毎日決まった時間に規則正しく食事を与えていると、食事時間の数時間前から消化液が分泌され始めるなど、体が準備をしていることがわかりました。さらに、食事のタイミングが与える影響を調べたところ、夕食の時間を変化させても、時計遺伝子の働きにそれほど影響はありませんでした。しかし、朝食の時間を変えると、時計遺伝子の働きが変化して、時計のリズムに乱れが生じることがわかりました1)

また、不規則な食事は肥満や脂質代謝にも影響があるといわれています。ラットを使った実験で、昼夜関係なく食事を与え続けたラットは、正常なラットに比べて、血中のコレステロール値が上がることがわかりました1)。このように食事は内容や量だけではなく、タイミングも重要なのです。現在では、食事の時間を調節して健康を維持する「時間栄養学」という考えが定着しつつあります。

体内時計を意識して健康に過ごすための毎朝の習慣

家事や仕事など、午前中のほうがはかどるという方もいれば、いや午後の遅い時間のほうがいいという方もおられるでしょう。活動のピークがどの時間帯にくるかは個人差があるものの、1日が24時間であることに変わりはありません。体内時計をしっかり調節して、テンポよく1日をスタートするために欠かせないのが「朝食」です。毎朝、朝日を浴び、朝食を取ることは、健康な生活を送るためにとても大切なことなのです。炭水化物・タンパク質、ビタミン・ミネラルなどの栄養バランスを考えた食事を取ることが理想的です。忙しい朝など、不足しがちな栄養素は栄養補助食品などで補給することを考えてみてもいいかもしれません。「朝食リセット」で体内時計を整えて、毎日リズムよく過ごしたいですね。


  1. 1) 香川靖雄ほか、時間栄養学. 女子栄養大学出版部(2009)
  2. 2) 小澤瀞司ほか編、標準生理学 第7版. 医学書院(2009)
  3. 3) 海老原史樹文ほか編、時間生物学. 株式会社化学同人(2012)
  4. 4) The Nobel Prize in Physiology or Medicine 2017

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