栄養トピックス 2018年02月21日

食べるって、栄養を摂るだけじゃなかった!?
“腸管免疫”の秘密

忙しい日が続くと、生活リズムが乱れたり、ストレスがたまったりして、知らぬ間に免疫力が落ち、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなることもあるでしょう。でも、ここぞ、という大切なときには、万全の体調で臨みたいもの。免疫系をきちんと機能させ、日々の元気を維持するためには、どうすればよいのでしょうか? 今回は、近年具体的な働きが明らかになり、脚光を浴びている“腸管免疫”に着目したいと思います。

消化・吸収だけではない! 腸管は重要な免疫器官

「腸管」とは、大腸や小腸などの消化器官のこと。主な役割はご存じのとおり口から摂取した食べ物の消化・吸収ですが、実は腸管には、ほかにも非常に重要な役割があるのです。

私たちの口は、外界から腸管へとつながる入り口です。口からは、生きるために必要な栄養源である食べ物が入ってくることもあれば、細菌やウイルスなどの有害な物質が入ってくることもあります。腸管は、常にそんな玉石混交の異物の波にさらされているわけです。もし腸管が、入ってきたものをすべてそのまま通過させ吸収してしまうとしたら、食べ物の栄養だけでなく有害な物質まで血流に乗って全身に行き渡ってしまい、大変なことになるでしょう。私たちがそんな危険に脅かされずに過ごせているのは、消化管の構造、殺菌作用を持つ胃酸などの消化液や分泌物の殺菌作用、そして腸管に備わっている免疫機能“腸管免疫”のおかげです。

腸管の内側を覆う粘膜には、免疫の働きを担う細胞たちや、異物を排除してくれる抗体が大量に存在し、よいものと悪いものを識別して、体の中に有害な物質が入るのを水際で阻止してくれています。腸管に存在する免疫細胞や抗体の量は、体全体の6割以上。腸管は、体内でも最大の免疫器官として重要な役割を担っているのです1)

腸管免疫と腸内フローラの深い関係

私たちの腸管内には膨大な量の腸内細菌が棲んでおり、腸内フローラと呼ばれるその集合体の状態が、健康に大きな影響を及ぼすことが知られています2)。近年、この腸内フローラと腸管免疫は、双方向に影響し合う深い関係にあることが明らかになりました 。腸内フローラのバランスがよいと、腸管免疫をコントロールする細胞がよく働き、外界からの異物と闘う抗体が効率よく生み出されるようになります。逆に、腸管免疫がよく働いていると、抗体の産生を介して腸内フローラの多様性が増加し、バランスがよくなることが報告されています3)

腸内フローラのバランスを整えることは、免疫力をアップさせるためにも重要であることがわかります。

腸内フローラは、一部の食物繊維オリゴ糖をはじめとする難消化性成分を材料に短鎖脂肪酸という酸をつくり出し、これが悪玉菌の増殖を防いで腸内環境を整えたり、腸管免疫をコントロールする細胞を働かせたりするカギとなります。グアーガム分解物は、この短鎖脂肪酸をつくる効率的な材料であることが知られています。

腸管免疫の機能を維持して生き生きとした毎日を

腸管免疫を担う細胞たちが存在している腸管の粘膜は、絶食が続いたりして腸管を使わずにいると、萎縮してしまいます。粘膜が萎縮すると腸管免疫の機能が低下し、感染性の病気にかかりやすくなるため、けがや手術などで食事が摂れない方の栄養管理では、点滴だけで栄養を送る時期をなるべく短くし、早めに腸を使った栄養療法を始めることが推奨されています4)

食べること、腸を使うこと、それ自体が免疫力を維持するために必要な行為なのですね。忙しい日々の生活の中でも、これからは腸を使うことの大切さも意識したいもの。できるだけ規則正しく、おいしく食事を楽しむ時間を取るように心がけ、心も体も健康な毎日を手に入れましょう。


  1. 1) 公益財団法人日本ビフィズス菌センター・腸内細菌学会ウェブサイト. 用語集「腸管免疫(gut immunity)」(2017年12月30日アクセス)
  2. 2) 平山和宏.シリーズ腸内細菌叢1腸内細菌叢の基礎.モダンメディア.60(10)307-311(2014)
  3. 3) Kawamoto S. et al. Immunity 41(1)152-165(2014)
  4. 4) 日本静脈経腸栄養学会.静脈経腸栄養ガイドライン第3版.照林社(2013)

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