梅雨も明けて、イベントの多い夏がやってきましたね。山へ海へとアウトドアで体力を使う機会も増えるこの時期、夏バテには注意したいところです。店頭にウナギが並ぶ土用の丑の日には、夏バテ予防にと、ウナギや肉などのスタミナ食を食べるという人も多いことでしょう。
でも、せっかくのスタミナ食も上手に摂らなければ、スタミナアップするつもりが夏を快適に過ごせなくなってしまうかもしれません。今回は、夏を楽しむために大切な栄養バランスについて紹介します。
夏バテと同時に気をつけておきたい便通のこと
夏バテ対策であるスタミナ食としてよく知られる豚肉やウナギには、疲労回復に必要なタンパク質やビタミンB群が豊富に含まれています。特に、ビタミンB1は糖質をエネルギーに換える際に必要なので、バテないパワーを得るためにも摂取したい栄養素の一つです1,2)。しかし、このような脂質の多い食材を、暑さで食欲が落ちているときに無理に食べようとすると、消化が追いつかずにかえって胃腸に負担がかかり、さらに夏バテが進むことにもなりかねません2)。また、野菜が不足するなど栄養が偏ると、食物繊維が不足して、便秘になったりしがちです2)。
さらに、夏休みなどで生活のリズムが乱れがちになると、排便のタイミングも逃しやすくなります。便意があっても我慢したりすることを続けてしまうと、作られた便を排出する一連の流れである「排便反射」が起こりにくくなることがあります3)。
夏は、夏バテしないよう食事の内容に気をつけるとともに、便通にも気をつけたい時期なのです。
スタミナ食だけでなく食物繊維の摂取も心がけて

そこで、スタミナ食に加えて取り入れたいのが、野菜などに含まれる食物繊維です。タンパク質・脂質・炭水化物(糖質)・ビタミン・ミネラルといった5大栄養素に次ぐ「第6の栄養素」とも呼ばれている食物繊維4)。食べ物の残りカスとして便の量を増やすだけでなく、腸内の老廃物や摂りすぎた脂質などをからめとって排出する働きがあります4,5)。
さらに、最近注目されるグアーガム分解物などの高発酵性の水溶性食物繊維は、腸内細菌の善玉菌を増やし、腸内フローラに働きかけるといわれています5,6)。グアーガム分解物の摂取によって、便秘気味な日本人成人での便通が改善することが報告されています7,8)。排便回数や排便量を増やすだけでなく、便をちょうどよい硬さにして便通を容易にするとの研究結果も出ています8)。
バランスのよい食事で夏バテ知らずの夏へ

暑さでバテそうなときこそ食事のバランスに気を配り、食物繊維もしっかり摂って、何でも食べられるよう胃腸の調子を整えておきたいですね。食生活が乱れがちなときは、手軽で飲みやすいドリンク型のサプリメントなども活用して、必要な栄養素を補うのもオススメです。元気をキープし楽しい夏を過ごしましょう。
- 1) 新出真理. かしこく摂って健康になるくらしに役立つ栄養学. ナツメ社(2018)
- 2) 福田千晶. ホントはコワイ夏バテ51の対策. 日東書院本社(2013)
- 3) 細田誠弥. 生活習慣と排便異常. 順天堂医学. 50(4)330-337(2004)
- 4) 「e-ヘルスネット 食物繊維」(厚生労働省)
- 5) 辨野義己. 腸内細菌の驚愕パワーとしくみ. C&R研究所(2016)
- 6) 原 博、プレバイオティクスから大腸で産生される短鎖脂肪酸の生理効果.腸内細菌学雑誌. 16(1)35-42(2002)
- 7) 田中俊昭. グアーガム分解物を配合した粥のヒト便通に及ぼす影響. 健康・栄養食品研究. 3(2)45-52(2000)
- 8) 中川致之. グアーガム分解物を配合した粉末緑茶のヒトの便通に及ぼす影響と長期摂取時および過剰摂取時の安全性の検討. 健康・栄養食品研究. 11(2)1-14(2008)