栄養トピックス 2018年11月22日

あなたのその食欲、腸内細菌が影響しているかも?

最近は「腸内細菌」という言葉もかなり一般的になり、おなかの健康のためには腸内環境を整えることが大切だということは多くの方が知るところでしょう。しかし、腸内細菌は単におなかの調子を整えるだけでなく、もしかしたら私たちの無意識レベルの食欲にまで関係しているかもしれないということをご存知でしたか? 今回は、腸内細菌の働きに関する最新の研究成果をご紹介します。

腸内細菌叢と肥満の意外な関係

私たちのおなかの中には、100種類以上、100兆個を超える腸内細菌が住んでいて、日々様々な働きをしています。腸内細菌がたくさんいる様子は、くさむら(叢)にたとえて「腸内細菌叢」と呼ばれており1)、その働きや叢を構成する菌の種類の違いがからだに与える影響が次々と明らかになってきています。
例えば、肥満の人と正常な人では腸内細菌叢を構成する菌の組成に違いが見られます。食事を変えて肥満を改善すると、肥満の人の腸内細菌叢は正常な人の組成に近づくことがわかっています2)

腸内細菌がつくる短鎖脂肪酸が食欲に関するホルモンの分泌を促す?

腸内細菌の大きな役割の1つに、食事で摂った食物繊維などを発酵して短鎖脂肪酸という物質を作り出す働きがあります。短鎖脂肪酸は、エネルギーの源になったり、腸内環境を良好に保つために必要とされています。実は腸内細菌が、この短鎖脂肪酸を作り出す機能を介して、食欲をも制御しているかもしれないという驚きの知見が得られています。
腸管の表面には、腸管内分泌細胞という、栄養素を認識して消化管ホルモンを分泌する細胞があります。腸管内分泌細胞には多くの受容体がありますが、その1つであるGPR41という受容体が短鎖脂肪酸と結びつくことによって、PYYという食欲を抑制するホルモンの分泌が促されることが、マウスを使った実験から明らかになりました3)。PYYというホルモンは、人間でも食欲を抑制する働きをすることがわかっていますので4)、マウスと同様に私たちの食欲も、腸内細菌によって影響を受けているかもしれません。最近では「腸脳相関」という言葉が話題になっています。腸内環境の情報が脳を通じてからだ全体のコントロールに影響するという仮説に基づいて様々な研究が展開されてきているようです。

腸内環境の改善で自分らしく生き生きした毎日を

腸内環境を改善するには、私たちのからだにプラスの働きをする善玉菌を増やし、マイナスの働きをする悪玉菌を減らすような食生活が求められます。ヨーグルトなどで善玉菌を直接摂る方法も勧められますが、それと同時に、善玉菌が増殖しやすい環境を整えることも大切です。そのためには、腸内を善玉菌の生息に適した酸性の環境にする必要があります。そこで重要となるのが先ほどご紹介した短鎖脂肪酸です。短鎖脂肪酸が増えることによって腸内は酸性に傾き、善玉菌が増えやすい環境になるというわけです。腸内細菌に短鎖脂肪酸を作り出させるには、善玉菌のエサになりやすいグアーガム分解物のような食物繊維を摂るとよいといわれています1)5)
腸内環境を整えるメリットは、便通改善やおなかの調子を整えるといった腸に関連したことに限らず、からだ全体の健康にもつながります。グアーガム分解物などの食物繊維を日々の食生活に意識して取り入れて、健康をキープしたいですね。


  1. 1) 内藤裕二.人生を変える賢い腸のつくり方.ダイヤモンド社(2016)
  2. 2) Ley R. et al. Nature 444 1022‒1023 (2006)
  3. 3) Samuel B. et al. PNAS 105(43)16767-16772 (2008)
  4. 4) 粕淵真由ほか. 臨牀消化器内科. 31(9) 1255-1260 (2016)
  5. 5) 田中明ほか. あたらしい栄養事典. 日本文芸社. p.144 (2016)

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