ネスレ日本が国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で環境啓発を行うエコプロジェクト『#NescafeOurPlanet(ネスカフェ アワープラネット)』の第四弾として行う今回の企画は、日本で初めてSDGsに全面的に取り組んだ女性誌である講談社の「FRaU(フラウ)」と、絵本を読む世代(親)と未来の世代(子)に“読み聞かせ”を通して、環境問題をはじめとする社会課題についてより意識を高めていただきたいという共通の想いから実現したコラボレーションになります。
今回公開する動画「#えほんでみらいをかんがえる」内の“読み聞かせ”では、「ブックハウスカフェ」の店長である茅野 由紀(ちの ゆき)さんの選定した全10冊の絵本を使用し、絵本の読み手には、プライベートで母親としての姿ももつ寺島しのぶさん、佐々木希さん、中村仁美さん、福田萌さん、青木裕子さんが登場します。
女優。1972年12月28日生まれ、京都市出身。
文学座退団後、舞台や映画、ドラマに出演。2003年『赤目四十八瀧心中未遂』『ヴァイブレータ』で国内外の女優賞を受賞。2010年に映画『キャタピラー』で主演を務め、第60回ベルリン国際映画祭で最優秀女優賞にあたる銀熊賞を受賞し、『OHLUCY!』(18)ではインディペンデント・スピリット賞主演女優賞にノミネートされた。出演近作に映画『ヤクザと家族 The Family』(公開中)、待機作には映画『キネマの神様』(4/16公開予定)がある。
#01 えほん
『もったいないばあさん かわを ゆく』(真珠まりこ・作/講談社)

大人気の「もったいないばあさん」シリーズの1冊。もったいないばあさんとぼくが川で見つけたものを追いかけてみると……。

SDGsが掲げる17のゴール・169のターゲットは、環境だけを考えるのではなく、経済・社会・環境などと分野を横断して俯瞰していく内容であり、「もったいない」という言葉自体がすでにSDGsと親和性が高いことがわかります。さらに、文明の発祥の源であり、治水・利水の観点からも人間の暮らしに欠かせない「川」をテーマにしていることもあり、この一冊を選びました。
また、「みんながやっているから」「小さなことだから」と気軽にゴミを川に捨てる行いから、世界的な環境問題へとつながっていく展開は、身近なところから徐々に大きなところへと導き伝えていて、まさに環境問題解決のための理念であるThink Globally, Act Locally(地球規模で考え、足元から行動を)が、小さな子どもにも理解しやすいようになっています。
そして何よりも、いろいろな社会・環境問題的なことがらを内包しつつも、「絵本として楽しい」を合わせもっているところが素晴らしいです。ユーモラスで厳しくも慈悲深いような、畏れ多いようで親近感がある、不思議な温かい「もったいないばあさん」の表情だからこそできる表現だと思います。
#02 えほん
『ピンク! パール!』(村上康成・作/徳間書店)

村上康成さんの「ヤマメのピンク」シリーズの1冊。産卵のために川を上ろうとするヤマメの前に立ちはだかるのは、人間が作ったダムだった!

村上康成さんはご自身のことを「絵本も描ける釣り師」ともおっしゃっていたほどの釣り人です。大好きなヤマメのピンクのシリーズ3作目の本作をおススメしたのは、1、2作目では自然の厳しさ美しさが描かれていましたが、3作目の中に、初めて人間の匂いを感じたからです。
汚染された川や、ダムが、産卵するヤマメにとって受難になる、という立場で登場します。次世代へと命をつなぐというのは、「人間以外」の生き物にとっては大命題で、それをなんとか成功させるために主人公のヤマメたちが上流へたどり着こうと頑張る姿にむねをうちます。でも本当は、人間も命をつないでいくことが大命題であるべき動物であって、「今だけ」「自分だけ」よければよい、という現在の風潮をヤマメの姿を借りて皮肉っているようにも見えます。
また、ダムというものに対して、少なからず恩恵を受けている自分を省みると、矛盾した複雑な気持ちになります。洪水も旱魃も防いでくれ、日々の飲料水は豊かである暮らしが普通だと思ってしまったらダムを否定できなくなります。ヤマメの目からみたダム、人間から見たダム。正誤ではなく、考え続けることの大切さを、この本は教えてくれているようです。矛盾に満ちた世界を、共通目標をもって協議しながら進んでいく、これが私の考えるSDGsの姿と重なりました。
神田神保町にある子どもの本専門店
「ブックハウスカフェ」店長 茅野由紀さん
赤ちゃんから大人までゆっくりと過ごしていただきたい広々したお店。お店で絵本をおすすめしているほか、絵本に関連したイベントやフェアなどを企画して、絵本の魅力を一人でも多くの方と分かち合いたいと日々活動。本と出会い、そしていろいろな楽しいことや、人とも出会えるような、楽しい絵本屋を目指しており、絵本作家の方々からも絶大なる信頼を寄せられている。