六古窯について

日本人と焼物の関わりは、縄文時代につくられ始めた土器まで遡ります。食料の保存や調理、祭りの道具など、焼物は人々の暮らしになくてはならないものでした。時代が進むにつれ、より高温で焼いた丈夫な陶器や磁器が作られるようになり、現在にいたるまで、日本全国の多くの場所で、様々な種類の焼物が生産されています。その中で、日本古来の技術を継承し、現在も生産が続いている代表的な6つの産地、越前・瀬戸・常滑・信楽・丹波・備前をまとめて、「日本六古窯」と呼んでいます。
昭和23年頃、古陶磁研究家・小山冨士夫氏により命名され、平成29年「日本遺産」に認定されました。

窯元一覧

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越前 えちぜん
素朴で頑丈なつくり、温かみのある土と灰釉の味わいを秘めた民藝的な美しさが特徴。
越前の土は鉄分を含み、耐火度が高く、焼き締めが良く、粒度が細かく強い粘りを持つなどの豊かな特性があり、繊細な成形が可能。

窯元からの手紙

拝啓

春寒の侯、貴殿にはますますご健勝のこととお喜び申しあげます。
私は岩間竜仁と申します。越前で陶芸の世界に入り約30年がたとうとしております。

越前の特徴は土味とよく言われ、鉄分を多く含んだ焼しまりの良い、茶褐色の暖かみのある器で「使えば使うほどあじがでる焼物」として知れ渡っています。

土に関しては、越前は他産地には負けないものを持っていると自負しています。何故ならば、この土で盃などの先端(口の部分)では1mm以下で重さ25gという極薄造りの器を制作することができます。これはロクロ引きでは国内でもマネのできない薄さです。ここまで粘性のある土は越前のみだと考えております。

今回はこの薄さを活かし「香味焙煎」の香りと味を引き立たせる器として制作しましたので、お楽しみください。

最後になりましたが、北陸にお出かけの際には越前焼発祥の地「越前陶芸村」へ是非お立ち寄り頂き、様々な越前焼に触れてみてください。

それでは、あなたのお手紙を心からお待ち申し上げております。

敬具

令和3年2月吉日
岩間 竜仁
瀬戸 せと
中国陶磁を彷彿とさせる白い素地が特徴で粘土中に鉄分がほぼ含まれないことから白いやきものをつくり出すことが可能。その特性を活かした様々な施釉製品が生み出され、陶器や磁器のほかノベルティや自動車部品など多種多様なやきものを生産。

窯元からの手紙

拝啓

春の陽気が待ち遠しい今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。

「せともの」として知られる愛知県瀬戸市で陶業を営んでおります瀬戸本業窯8代後継水野雄介と申します。
江戸後期より約250年続く窯元で、現在もなお、当時と変わらぬ手法で土と釉薬をつくり続けながら日々作陶に励んでおります。
瀬戸は日本で初めて施釉陶器を作った町です。その総結集ともいえる「三彩」を施したこのマグカップはお使いいただくうちに味わいが増していきます。
これは自然がもたらすもので私たちは「うつわが育つ」と表現します。
長きにわたり培われてきた瀬戸の歴史に思いを馳せながら心地良いひとときを過ごしていただけたら幸いです。

先の見通しが付き辛い状況ではありますが、日々の暮らしが少しでも豊かなものになりますよう心より祈っています。

皆様のお手紙を心から楽しみにしております。

敬具

令和3年2月吉日
水野雄介
常滑 とこなめ
常滑の土は、鉄分が多く低い温度でも焼き締まる性質を持ち、大きなやきものを作るのに適している。釉薬を用いない「焼締(やきしめ)」によるやきものが特徴。また、江戸後期から作られている朱泥焼をはじめとした急須は、現在も代表的な生産品のひとつ。

窯元からの手紙

拝啓

向春の候、皆様いかがお過ごしでしょうか。

愛知県常滑市で常滑焼の佳窯という窯屋を営んでいます、久田貴久と申します。年齢は55歳になりました。この度は私の手紙をお手に取っていただき、誠にありがとうございます。

自分は祖父の代から続く常滑焼の窯屋の家に生まれ、大人になって気が付いたら焼き物の道に進んでいました。焼き物産地で生活していると何も疑うことなく自然な選択だったような気がしていますが、30年以上焼き物にたずさわって最近思うのはモノづくりが性分に合っていたのだろうということです。親の代までは盆栽鉢を主に造っていましたが、自分のやりたかった食器づくりへ転換し、こんな不安だらけの今だからこそ食事の時間をワクワクさせるような器を沢山の人に使ってもらいたいと思っています。

そんな常滑焼の器の特徴はチャラと呼ばれる上くすりです。ガラス質の釉薬でもなく焼き締めでもないその中間くらいに熔ける独特の質感で「香味焙煎」のイメージカラーであるブルーを今回は使っています。

常滑に起こしいただいた際には,窯屋の煙突が立ち並んだ焼き物散歩道を散策いただき、当方佳窯へも是非お立ち寄りください。

あなたのお手紙を心から楽しみにしております。
浅春の折、何卒ご自愛ください。

敬具

令和3年2月吉日
佳窯 久田貴久
信楽 しがらき
釉薬を施さずに焼き締めるため、長石と石英の砂粒が混ざったざっくりとした肌合いや、焼成の過程で素地が変化し作り出される印象深い景色が特徴。古琵琶湖層から採取される土は耐火性に優れ、タイルや建築用材等多種多様な製品を生産。

窯元からの手紙

拝啓

浅春の候、皆様いかがお過ごしでしょうか。
滋賀県甲賀市で信楽焼の陶芸家をしております、藤原純と申します。
今年で41歳になります。
この度は私の手紙をお手に取っていただき、誠にありがとうございます。
私は20歳の頃から21年間、信楽焼作りに勤しんできました。
私にとっては見慣れた風景、見慣れた陶器ですが、訪れた方の「懐かしい心地がする」という言葉を聞く度に、自分は日本の原風景を作っているのだと思わされます。コロナ禍で先の見えない今だからこそ、再び手元に置いてもらえたらと思うばかりです。
そんな信楽焼の特徴は、土の質感を感じられる温かみのある肌あいや、薪窯による緋色やビードロなど自然釉です。今回は「香味焙煎」の香りを引き立たせるため、深みのあるブルーの釉薬のコーヒーカップに仕上げられたらと思っています。
ちなみに、いつか信楽にいらっしゃるときがありましたら、是非私の工房「古仙堂」に立ち寄ってください。
あなたのお手紙を心から楽しみにしております。
桜の便りもすぐそこまで届いています。ご自愛ください。

敬具

令和3年2月吉日
藤原 純
丹波 たんば
一つの技法にとらわれず、時代の要請を敏感に察知し、様々な生活用器を作り続けてきた丹波焼。登窯の到来とともに考案された木灰釉を中心として、ワラ灰・栗のイガ灰なども使用。現在も釉薬の主流を占めており、その他土灰釉・鉄釉(黒釉)・白釉なども使用。

窯元からの手紙

拝啓

浅春の候、皆様いかがお過ごしでしょうか。

兵庫県丹波篠山市で丹波焼の陶芸家をしております、源右衛門窯市野太郎と申します。この度は私の手紙をお手に取っていただき、誠にありがとうございます。

丹波は古くから受け継がれた伝統を守りながら、現代暮らしに寄り添う器をそれぞれの窯元がひとつひとつ手作りで作っています。今回は毎日の珈琲をもっと楽しく美味しいものにするため、珈琲の香りや味を引き立てさせるマグカップを作ってお届けさせていただきます。

丹波篠山は京阪神から約1時間の場所にありながら、歴史や伝統、文化が色濃く残り日本の原風景を感じられるまちです。今田地区には約60軒の窯元が立ち並び、窯元巡りをしながら自分のお気に入りの丹波焼を見つけることができます。丹波篠山へお越しの際は、ぜひ源右衛門窯へお立ち寄りください。

あなたからのお手紙を心から楽しみにしております。ご自愛ください。

敬具

令和3年2月吉日
源右衛門窯
市野太郎
備前 びぜん
絵付けや施釉をせず、土の質や成分が焼成した際の景色に良く表れていることが特長。現在も、昔ながらの登窯と松割木の燃料を用い、1点ずつ成形していくため、一つとして同じものがなく、焼き色も胡麻、桟切、緋襷、牡丹餅などの変化に富んでいます。

窯元からの手紙

拝啓

梅の花の香りも待ち遠しい頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
私は岡山県備前市で備前焼伝統工芸士として作陶をしております延原勝志と申します。
早いものでこの3月には還暦を迎える年となりました。
この度は、私の手紙をお手に取って頂き誠にありがとうございます。
私は、18歳の頃より42年間陶芸家としての道を歩んで参りました。私にとっては見慣れた町、見慣れた“やきもの”ですが、訪れた方の「やさしい気持ちになれる器に出会えた」という言葉を聞くたびに自分は日本の陶芸の原点に通ずるやきものを作っているのだと思わされます。不確かな現代だからこそ、再び手元に置いて楽しんで頂けたら…と思います。
そんな備前焼の特徴は“やきしめ”(釉薬を使わず焼成する)です。今回は「香味焙煎」の味と香りを引き立たせるためモダンなかたちに仕上げられたらと考えています。

いつか岡山にいらっしゃる時がございましたら、備前焼の里 備前市へもお立ち寄りください。
また、備前焼についての詳細も是非読んで下されば幸いです。
あなた様のお手紙を心よりお待ち申し上げております。
桜の便りもすぐそこまで届いています。御身体ご自愛下さいますよう心から御祈り申し上げます。

敬具

令和3年2月吉日
延原勝志 拝