ビション・フリーゼ

ビション・フリーゼはフランス語で『縮れ毛で飾る』という意味です。その名のとおり、下毛は密で柔らかく、それを覆う上毛はしなやかに縮れ、長い毛で覆われた尾もふんわりと羽毛の飾りのように揺れていて、とても気品を感じさせます。昔のヨーロッパでは、病人が暖房代わりに抱いて寝ていたと言われるくらい、長時間抱かれていてもじっといい子でいてくれる、癒し効果も抜群の犬です。抜け毛や体臭はほとんどありません。被毛の手入れの大変さを除けば、ひじょうに優れた家庭犬といえるでしょう。
飼う際の注意点
  • 旅行・移動に対応する適応力:高め
  • 留守に対する適応力:中程度
  • 子どもに対する適応力:中程度
性格は?
明るくて優しく、いつも楽しげに陽気にふるまうので、見ていても、自然に気持ちがなごみます。感受性が豊かで、飼い主の喜怒哀楽を敏感に察知して、うまく立ち回る賢さもあります。かわいらしい姿とは一転、とても知的で賢く、様々なトレーニングもしやすい犬種です。それでいて独立心もあり、見知らぬ人に愛想を振りまくような性格ではありません。警戒心もあるため、番犬にもなります。社会性もあるため、ほかのペットとも仲良くできます。
必要とされる運動量
多くの運動は必要ありませんが、散歩は社会性、感受性を高めるためにも行いましょう。10~20分程度の散歩を毎日2回程度で済みます。散歩というよりは、室内でボール遊びなどで運動してあげるといいでしょう。小柄でも筋肉質の身体なので、しっかりとした骨格と筋肉を形成するためにも、幼い頃は、運動を兼ねた遊びをたっぷりと行いましょう。
ビション・フリーゼ
  • 原産国 フランス
  • 犬種分類 愛玩犬
  • 色・模様 純白
  • 毛質・毛の長さ ロングコート(長毛)
  • 抜け毛 少なめ
  • サイズ 超小型~小型
  • 目安となる体高・体重 体高:30cm程度まで、体重:3~6kg
  • 一日に必要な散歩量 中程度
  • 活発度 中程度

起きやすい病気/ケガ
好発する疾患は、生まれた直後から被毛がなく、生後数か月までにすべての被毛を失う遺伝性貧毛症、B型血友病、興奮やストレスによって、全身が細かくふるえ、悪化すると癲癇などの発作を引き起こす犬ふるえ病、一番目と二番目の頚椎の融合が不完全な環軸亜脱臼、眼瞼内反症、角膜変性症、白内障、尿が出にくくなり、場合によっては血尿を伴うシスチン尿石症、リン酸カルシウム尿石症、ストラバイト尿石症などがあります。

歴史
モコモコにトリミングされた姿が印象的なビション・フリーゼは、大西洋にあるカナリア諸島に生息していた古い土着犬の子孫だと考えられています。今ではすっかりトイグループに属するコンパニオン・ドッグですが、その祖先を辿っていくと、バルビーやウォーター・スパニエルなどのウォーター・ドッグに行き着きます。その縮れた被毛が名残です。1300年ころに、イタリアはヨーロッパの貿易の中心でした。そのときにカナリア諸島からイタリアの水夫がビション・フリーゼを大陸に連れてきました。1494年、フランスがイタリアに侵略を始めた「イタリア戦争」の際、ビション・フリーゼもフランスにやってきたようです。その後19世紀後半まで、ビション・フリーゼは歴代の王たちに愛されました。しかし、19世紀の末になると、すっかり今までのような人気はなくなり、ビション・フリーゼはごく普通の犬になっていて、大道芸人のお伴やサーカスの犬となり、絶滅しかけていました。そんな中、愛犬家が繁殖を始め、1934年にはフランスのケンネル・クラブで公認されました。

ドッグショーでの評価基準
頭部スカルは飾り毛によって丸く見えますが、感触では頭頂はかなり平らで、長さはマズルよりも長くなります。ストップは目立つほどはっきりはしていません。鼻は丸みがあり、色は黒色。マズルは太くなく、スニッピー(とがった弱々しいマズル)ではありません。歯の咬み合わせは上の切歯の内側に下の切歯の外側がわずかに接するシザーズ・バイトです。目はやや、丸みがあり、大きくなく、出目でもありません。色はダーク(暗色)な色調です。耳は垂れていて、細かくカールした長い被毛に覆われています。首は丸く、かなり長く、胴体の約3分の1になります。胴体の腰は幅広く、わずかにアーチを描いています。胸は発達し、胸底は深く、水平です。尾は付け根の位置は背線よりわずかに低く、通常はあげて保持します。前肢は前から見てまっすぐで垂直です。後肢は骨盤が幅広く、筋肉質です。