ボーダー・コリー

牧羊犬の中でもヒツジの誘導技術にかけては、右に出るものがいません。驚異的な瞬発力、跳躍力、俊足を持っています。その運動能力から、現在は牧羊犬というよりも、フリスビー・ドッグの名を欲しいままにしています。しかし、一般的に飼育しようとすると、その運動能力が問題になってきます。毎日、これでもかという運動をこなさなければ、ストレスを溜めてしまい、ときには破壊的になり、神経質、または脱走をすることになってしまいます。毎日、膨大な運動をさせてあげられる環境と時間が必要となります。
飼う際の注意点
  • 旅行・移動に対応する適応力:高め
  • 留守に対する適応力:高め
  • 子どもに対する適応力:高め
性格は?
無邪気で人なつこい上、優しくて明るく我慢強く、好奇心旺盛な最高の家庭犬です。飼い主を信じてどんな命令にも服従しますが、賢い子ほど、飼い主の指示や合図をしっかりと覚えて使い分けようとしていますから、飼い主は、命令の出し方をわかりやすく一貫性を持って犬と接することが大切です。的確に状況判断できる優れた観察眼や分析能力、臨機応変な問題解決能力といった高い知能も兼ね備えています。
必要とされる運動量
運動量は膨大です。体力、スタミナともに、全犬種中でもずば抜けています。この優れた運動能力は単なる散歩ではこなせません。基本的には毎日最低2回、それぞれ60分以上の駆け足を含めた散歩が必要です。加えて、ドッグランなどで自由運動ができれば理想的です。毎日、長時間、運動の時間が必要となるでしょう。
ボーダー・コリー
  • 原産国 イギリス(スコットランド)
  • 犬種分類 牧羊・牧畜犬
  • 色・模様 さまざまだが、白地が多いのは好ましくない
  • 毛質・毛の長さ ロングコート(長毛)、ショート/スムース(短毛)
  • 抜け毛 中程度
  • サイズ 中型
  • 目安となる体高・体重 体高:雄(オス)53cm・雌(メス)は53cmよりもわずかに低いのが理想、体重:14~20kg
  • 一日に必要な散歩量 多め
  • 活発度 高め

起きやすい病気/ケガ
あまりの運動能力のため、大ジャンプの繰り返しなどにより、背骨や四肢を傷めてしまうこともあるので、限度を知っておくべきでしょう。好発してみられるのは、肩骨軟骨症、遺伝性難聴、全身性の神経症状を発するリソソーム蓄積症、パンヌス(慢性表在性角膜炎)、白内障、コリー眼異常、癲癇症などがあります。

歴史
ボーダー・コリーはその名のとおり、スコットランドとイギリスの国境付近のノーザンバーランドで誕生した犬種です。スパニエルと今はいない古代の犬種の血筋だと考えられています。1893年、最初の牧羊犬コンテストに出場したOld Hempという名の犬が、最初のボーダー・コリーとして認識されています。その犬は、声を発することなく、その目で牛を凝視することでコントロールしたといわれています。さらに1901年にもOld Kepという名の優れたボーダー・コリーが登場し、その人気は一気に高まりました。その素晴らしさを認められ、1906年には最初のスタンダードが確立されています。20世紀前半にはアメリカにももたらされ、羊飼いの中で多く飼われるようになりました。

ドッグショーでの評価基準
頭部スカルはかなり広く、オクシパット(後頭部)の突起は目立ちません。マズルは鼻に向かって先細り、適度に短くなっています。ストップははっきりしています。鼻の色は黒色が基本ですが、毛色がブラウンかチョコレートの場合はブラウン。ブルーの場合はスレートでもかまいません。目は広く離れてついていて、オーバル(卵型)で、色は通常ブラウンですが、毛色がマールの場合、片方の目、または両目の一部がブルーでも許されます。耳も広く離れてついていて、直立か半立ち耳です。歯の咬み合わせは上の切歯の内側に下の切歯の外側がわずかに接するシザーズ・バイトです。首は適度な長さでわずかにアーチを描き、肩に向かって幅広くなります。胴体は胸が適度に広く、胸底が深く、腰は筋肉が発達しています。体長は体高よりもやや長くなります。尾は付け根の位置が低く、適度に長く、飾り毛が豊富です。前脚は前から見ると2本が平行で、肩甲骨はよく傾斜し、肘は胴体に接しています。後肢は筋肉質で横から見ると、尾の付け根までなだらかに傾斜しています。