ボクサー

物静かで温厚で控えめですが、自信に満ちあふれ、堂々としたボクサーは、監視能力の高さから警察犬や軍用犬としても活躍しています。しかし、見かけと違って、精神的にとてもナイーブで傷つきやすく、逆恨みしたり根に持つタイプなので、体罰や厳しい叱責は逆効果です。トレーニングは、むしろ穏やかにしっかり諭すように話しかけた方がずっと効果的ですし、信頼関係も、より深まるはずです。ドイツとアメリカのボクサーでは、若干、姿に違いがあり、ドイツのボクサーは頭が大きく、アメリカタイプのものより筋肉質です。
飼う際の注意点
  • 旅行・移動に対応する適応力:高め
  • 留守に対する適応力:高め
  • 子どもに対する適応力:中程度
性格は?
当初は闘犬や闘牛目的で利用されていて、かなり獰猛な性質でしたが、現在は、本質的な性格の優しく情愛深い部分から、家庭犬としても愛されています。実際にとても賢くて状況判断が的確にできます。ふだんは物静かで温厚で控えめなのですが、ここぞという時には猛烈なパワーと迫力で、他を圧倒するので頼もしい限りです。信頼し尊敬できる飼い主に巡り会えると、穏やかで従順に育ち、飼い主への忠誠心は大変に濃厚で絶対的なものになります。
必要とされる運動量
闘犬として誕生したボクサーは、強靭な筋肉とスタミナで、膨大な運動量を必要とします。毎日のびのびと運動させたいところですが、日本ではそのような場所も限られています。なるべく、多くの運動量をこなすためにも、60分以上の駆け足を取り入れた散歩を、毎日最低2回は行いましょう。自宅に庭があれば、そこでもボール遊びなどができれば理想的です。
ボクサー
  • 原産国 ドイツ
  • 犬種分類 使役犬
  • 色・模様 フォーンまたはブリンドル。白斑は全毛色の3分の1以内
  • 毛質・毛の長さ ショート/スムース(短毛)
  • 抜け毛 少なめ
  • サイズ 大型
  • 目安となる体高・体重 体高:雄(オス)57~63cm・雌(メス)53~59cm、体重:雄(オス)30kg以上・雌(メス)25kg
  • 一日に必要な散歩量 多め
  • 活発度 高め

起きやすい病気/ケガ
健康面で心配なのは、胎生期の形成がうまくいかなかったことから、心房の間に穴が開く心房中隔欠損、大動脈弁狭窄、心臓が拡張し、収縮する動きの幅が小さくなってしまう拡張型心筋症、不整脈を起こし、重度の場合には失神を繰り返し、死に至るボクサー心筋症、股関節形成不全や椎間板ヘルニア、多発性関節炎、咀嚼がうまくできなかったり、あくびで開いた口が閉まらなくなるなどの症状がみられる顎間接形成不全、聴覚障害、胃捻転などです。胃捻転は1日の食事を数回に分け、食後の激しい運動を避けることで予防しましょう。

歴史
ボクサーはドイツの2頭のマスティフタイプの犬、ベルギー・ブラバン地方の土着犬、マスティフ、ブルドッグ、テリアなどの交配によって誕生しました。1880年代のことです。ドイツのボクサー・クラブは1896年に設立され、1902年には出版物として、ボクサーのスタンダードを掲載しました。このときのスタンダードは、今でもほぼ変わりがないようです。当時は、断耳、断尾が一般的でしたが、現在はヨーロッパ諸国で禁止されています。日本やアメリカでは、現在もまだ断耳、断尾されているのが、一般的になっています。しかし、日本でもこれらの行為は禁止する方向に進んでいます。1903年にはアメリカに紹介され、1915年にはドッグショーでチャンピオンに輝いています。その後1935年に、アメリカのボクサー・クラブが設立されています。翌年の1936年にはAKC(アメリカン・ケンネル・クラブ)で公認されました。

ドッグショーでの評価基準
頭部はボクサー独特の外観を表し、マズルは幅広く、スカルはほっそりしていて角張って、わずかにアーチを描いています。ストップははっきりしていて、額溝もわずかですが、明確です。鼻は幅広く、色は黒色で、わずかに上を向いています。歯の咬み合わせはわずかに下の切歯が上の切歯より前方に出るアンダー・ショットです。目はダーク(暗色)で、突き出しておらず、くぼんでもいません。耳は適度な大きさで、頭頂の両側に離れてついています。首は頑丈でトップラインはアーチを描いていて、十分な長さと丸みがあります。胴体の背と腰は短く、引き締まっていてまっすぐで幅広です。尾の付け根は高く、断尾されなくてもかまいません。前肢は、前脚がまっすぐで2本が平行です。後肢は筋肉質で、後ろから見てまっすぐです。