ドーベルマン

精悍な外見から凶暴なイメージが強いドーベルマンは、つい最近まで、ピンと立ち上がったするどい耳と、短い尾がトレードマークでしたが、この姿は断耳、断尾をしたものです。実際には垂れた丸みのある耳に、先細い長い尾です。その本来の姿には優しさが溢れ、魅力的な犬種です。ヨーロッパの多くの国ではすでに断耳、断尾が禁止されています。日本でもこの動きは大きくなりつつあります。大型ですが、体臭も抜け毛もほとんどないので、室内での飼育に向いているといえます。
飼う際の注意点
  • 旅行・移動に対応する適応力:高め
  • 留守に対する適応力:中程度
  • 子どもに対する適応力:中程度
性格は?
常に不動の構えで警備にあたる犬というイメージがありますが、それは相当なトレーニングを積んでいる場合です。家庭犬としてのドーベルマンはとても無邪気で活発です。飼い主と行動するのも大好きで、トレーニングもとてもあっさりとこなします。ただし、留守がちな家庭で十分な愛情をかけてあげれないと、ストレスから攻撃的な犬になってしまうことが多いので注意が必要です。
必要とされる運動量
引き締まった健康的な身体を維持するためにも、毎日長時間の運動が必要です。60分以上の駆け足を取り入れた散歩を、毎日2回は行いたいものです。できればドッグランのような安全な広場があれば、自由運動を行うのが理想的です。成犬では、家庭では落ち着いているので、物静かですが、本心では走り回りたいと思っています。ちょっとした買い物のときにも、できるだけ散歩に連れていきましょう。
ドーベルマン
  • 原産国 ドイツ
  • 犬種分類 使役犬
  • 色・模様 ブラックまたはブラウンで、身体各所に赤褐色の斑が入る
  • 毛質・毛の長さ ショート/スムース(短毛)
  • 抜け毛 少なめ
  • サイズ 大型
  • 目安となる体高・体重 体高:雄(オス)68~72cm・雌(メス)63~68cm、体重:雄(オス)40~45kg・雌(メス)32~35kg
  • 一日に必要な散歩量 多め
  • 活発度 高め

起きやすい病気/ケガ
遺伝的な疾患に、皮膚脂肪が異常を起こし、炎症を発する脂漏症や毛穴の構造に異常をきたす毛包形成不全、皮膚が色素を失ってしまう白斑症などの皮膚疾患のほか、心臓が拡張し、収縮する動きの幅が小さくなってしまう拡張型心筋症、胃捻転や腸捻転、粘膜からの出血がみられるフォン・ヴィレブランド病、両後肢の歩様異常が起きるドーベルマン舞踏病などが好発します。

歴史
勇ましく筋肉質の美しいドーベルマンは、比較的新しい犬種です。ドイツ在住のルイス・ドーベルマンという人物によって作出されました。当時、彼は税金を徴収する仕事をしており、幾度となく危険な目に遭ってきました。そのため、自らの身を守るためと、相手への威嚇になる犬の作出に着手しました。ジャーマン・ピンシャーやボースロン、マンチェスター・テリア、グレイハウンド、ロットワイラーなどを交配しながら1900年までには、現在のドーベルマンの姿にほぼ近いまでに完成しました。1908年にはアメリカに紹介され、同年にAKC(アメリカン・ケンネル・クラブ)で公認されました。20世紀の始めから、ドーベルマンは警察犬、軍用犬としてアメリカ、ヨーロッパで需要が高まりました。

ドッグショーでの評価基準
頭部は上から見るとくさび型で、前から見ると、頭頂のラインはほぼ水平です。マズルのラインはスカルの上辺のラインとほぼ平行しています。ストップはわずかですが明らかに発達しています。鼻は鼻孔が発達していて、鼻の色は被毛がブラックの場合は黒色。ブラウンの場合は明るめの色調です。歯の咬み合わせは上の切歯の内側に下の切歯の外側がわずかに接するシザーズ・バイトです。目は中くらいの大きさのオーバル(卵型)で、色はダーク(暗色)ですが、毛色がブラウンの場合は明るめの色調が認められます。耳は付け根の位置が高く、断耳される場合は直立ですが、断耳されない耳は前部の端が頬に接して垂れています。首は適度な長さで、よく引き締まった筋肉質です。胴体はキ甲が高く、背は短くて引き締まって、尻は適度な幅があり、たくましい筋肉がついています。