グレート・ピレニーズ

別名は「ピレニアン・マウンテン・ドッグ」と呼ばれます。純白の巨体は、圧倒的な存在感があります。ほかの犬も、思わず道を譲ってしまうでしょう。体は大きくても、性格はとても優しく、飼い主家族にはもちろん、ネコなどの一緒に暮らしているほかのペットに対しても包み込むような愛情で見守ってくれます。大型犬特有のよだれの多さも悩みのひとつになります。首にバンダナなどの「よだれかけ」をしておくといいでしょう。換毛期になると大量の抜け毛があります。抜け毛を少なくするためには、この時期、毎日ブラッシングをする必要があります。
飼う際の注意点
  • 旅行・移動に対応する適応力:高め
  • 留守に対する適応力:高め
  • 子どもに対する適応力:高め
性格は?
いたって穏やかで、家族に対して深い愛情を示します。勇敢で忠実なため、不審な物音や人物に対しては高い警戒心を抱き、特に雄(オス)では、攻撃的になる場合もあります。飼い主は大事故にならないように、しっかりとコントロールする必要があります。しかし、トレーニングは簡単ではありません。成犬になるには、丸々2年かかるので、じっくりと根気よくトレーニングしなくてはなりません。生後2歳までは、あの巨体で無邪気な子どもなのです。
必要とされる運動量
成長すればするほど、あまり運動をしたがらなくなります。基本的には気ままに生活したいタイプなので、どうやって散歩に連れ出すかがポイントになります。頻繁に散歩コースを変えて、いつも新鮮な気持ちにさせるなどの工夫が必要になるでしょう。運動したがらなくても、健康な足腰を維持するためにも60分程度の散歩を毎日2回は行いたいものです。
グレート・ピレニーズ
  • 原産国 フランス(ピレネー山脈一帯)
  • 犬種分類 使役犬
  • 色・模様 ホワイト、グレー、薄いイエロー、ウルフ・カラーなど
  • 毛質・毛の長さ セミロング(中毛)
  • 抜け毛 多め
  • サイズ 超大型
  • 目安となる体高・体重 体高:雄(オス)70~80cm・雌(メス)65~75cm、体重:雄(オス)45~57kg・雌(メス)39~52kg
  • 一日に必要な散歩量 多め
  • 活発度 中程度

起きやすい病気/ケガ
遺伝性の疾患に、心臓の三尖弁が変形し、循環不全を引き起こす三尖弁形成不全、股関節形成不全、軟骨形成不全、肩骨軟骨症、遺伝性難聴、眼瞼異常などが好発します。多発性後肢狼爪が多くのグレート・ピレニーズに見られます。また、厚い被毛に包まれているため、暑さに弱く、日本の高温多湿の夏場の温度管理に気を使いましょう。

歴史
フランスとスペインの間に立ちはだかるピレネー山脈。ピレニアン・マウンテン・ドッグはこの山脈で育ちました。しかし、そのルーツは数千年前に放浪生活をしていた遊牧民が、アジアから連れてきた犬が祖先だと考えられています。古い記録では、1407年に、歴史家が残した資料にピレニアン・マウンテン・ドッグらしき犬のことが書かれています。ピレネー山脈では、主に羊飼いを助け、羊の群れをオオカミやクマから守っていました。そんな頼れる犬を、17世紀当時の貴族は大変気に入り、入手したがったほどです。

ドッグショーでの評価基準
頭部スカルはわずかに丸みを帯びていて、オクシパットの突起は明確です。後部スカルはオーバル(卵型)です。ストップはゆるやか。鼻は真っ黒で、マズルは幅広く、先端に向かって徐々に細くなります。歯の咬み合わせは上の切歯の内側に下の切歯の外側がわずかに接するシザーズ・バイトですが、上下の切歯の端と端がきっちりと咬み合うレベル・バイトは許容されます。目はやや小さいアーモンド型で、いくぶん斜めにつき、色はダーク・アンバー・ブラウンです。耳はやや小さく、三角形で、先端に丸みがあります。胴体の背は十分な長さがあり、キ甲は幅広くなります。尾は垂れて、その先端は少なくとも飛節に達します。前肢は強健で、肩甲骨はほどよく後方に傾斜しています。後肢は後ろから見て両後脚はまっすぐで、大腿はよく筋肉がつき、長すぎず、ほどよく傾斜しています。足はコンパクトで、両前肢にはそれぞれ2本のしっかりしたデュークロー(狼爪)が見られます。