甲斐犬

胸の幅が狭くて足が長くオオカミのような精悍な印象を与える犬です。動きもとても俊敏で、どんな山道も軽々と駆け抜ける抜群の運動能力を備えています。性格もきつくて頑固で、しかし、一度主人と決めた相手には、どんなことがあってもとことん信じてつくします。別名「甲斐虎毛犬」(かいとらげいぬ)とも呼ばれ、一般的には黒毛に近い茶褐色の被毛に虎模様が入っていますが、赤虎毛、中虎毛もあります。この虎毛が山の中で狩りをする際に保護色になっていると言われています。
飼う際の注意点
  • 旅行・移動に対応する適応力:中程度
  • 留守に対する適応力:高め
  • 子どもに対する適応力:少なめ
性格は?
飼い主に一生を捧げるほど、忠実な気質を持ち、飼い主以外には興味を示さないほどです。見知らぬ人にはそっけなく接し、しつこいとすぐに牙を向いてくる攻撃的な面が強く、決して心を開きません。足場の悪い岩場を駆け回れる運動能力をもち、人一倍の警戒心で、一般家庭でも番犬として頼もしいパートナーとなっています。
必要とされる運動量
足場の悪い山岳地帯を、縦横無尽に走り回り、クマやシカなどの獣の猟に活躍していた犬種だけあって、中型の体格ですが、運動量はかなりのものです。それはコンパニオンとなった現在も健在で、30分以上の駆け足を取り入れた散歩を、毎日2回は行いたいところです。自由に走り回れる環境があれば、さらに理想的です。
甲斐犬
  • 原産国 日本
  • 犬種分類 原始的・スピッツ
  • 色・模様 黒虎、赤虎、虎
  • 毛質・毛の長さ ショート/スムース(短毛)
  • 抜け毛 多め
  • サイズ 中型
  • 目安となる体高・体重 体高:雄(オス)50cm・雌(メス)45cmが理想、それぞれ上下各3cmまで、体重:16~18kg
  • 一日に必要な散歩量 多め
  • 活発度 高め

起きやすい病気/ケガ
基本的に健康な犬種です。特になりやすいとされる重大な疾病はありませんが、アレルギー性皮膚炎などがみられます。要因は遺伝性の場合や、食物が関係している場合があります。皮膚の状態をチェックして、異常を確認したら、動物病院で検査を受けましょう。

歴史
甲斐の国(現在の山梨県)に古くから存在した猟犬です。山深い地で、長きに渡り隔離されていたため、古くからの特徴を残しています。甲斐虎毛犬(かいとらげいぬ)の別名もあるように、一般的には黒毛に近い茶褐色の被毛に虎模様が入っていますが、赤虎毛、中虎毛もあります。この虎毛は、山の中で狩りをする際に保護色になっていると言われています。昭和4年(1929年)、当時、固定しきれていなかった甲斐犬を、現在の南アルプス市の地犬を基礎にして固定していきました。そして昭和6年(1931年)、甲斐日本犬犬愛護会が設立され、昭和9年(1934年)、天然記念物に指定されました。名前は「飼い犬(かいいぬ)」と混乱しないように「甲斐犬(かいけん)」とされました。

ドッグショーでの評価基準
頭部スカルは幅広く、ストップは急な傾斜をしています。額溝は浅く、鼻の色は黒色です。マズルはとがっていて、あまり長くありません。歯の咬み合わせは上の切歯の内側に下の切歯の外側がわずかに接するシザーズ・バイトです。目はやや三角形で、色は暗褐色です。耳は三角形で、やや前方に傾斜し、直立しています。胴体はキ甲が高く、背はまっすぐで短く、腰は幅広く、胸は胸底が深く、あばらがよく張っています。尾は付け根の位置が高く、太く、背上に力強く巻くか、鎌状に湾曲させて上げています。肩は肩甲骨がほどよく後方に傾斜し、前脚がまっすぐで、前肢は筋肉がよく発達しています。後肢もよく発達しています。