ナポリタン・マスティフ

外見からは想像できないほど物静かな犬種ですが、体力とパワーは並外れているので、本人は普通に動いたつもりでも、小さな子どもにとっては事故につながる可能性があります。大人でも、散歩の際には、リードで引き摺られないように注意しましょう。被毛はごく短いので、手入れは難しくありません。獣毛ブラシで艶を出すためにも、毎日ブラッシングするといいでしょう。それでも、初心者が扱える犬種ではなく、犬の飼育に馴れた方でも、しっかりとした気構えが必要です。
飼う際の注意点
  • 旅行・移動に対応する適応力:中程度
  • 留守に対する適応力:高め
  • 子どもに対する適応力:中程度
性格は?
自信家でプライドが高く、頑固です。自立心も旺盛で、自己判断で突き進んでいく、超マイペースな犬です。しかし、信頼した主人の命令には、どんなことがあっても絶対忠実に従います。とても力が強く、攻撃的な性格が潜んでいるので、訓練がしっかりとできる自信のある人でないと、手に負えなくなります。普段は寝そべっていることが多いですが、行動する際は迫力があって俊敏に動きます。
必要とされる運動量
体重が重く、それほど活発な動きはしませんが、膨大な運動量が必要です。最低でも60分の小走りを取り入れた散歩を、毎日2回は行いたいところです。ただし、股関節形成不全の場合は、無理せず、歩行だけの散歩を、犬の様子を確認しながら行いましょう。
ナポリタン・マスティフ
  • 原産国 イタリア
  • 犬種分類 使役犬
  • 色・模様 グレー、鉛のようなグレー、ブラック、ブラウン、フォーン、ディープ・フォーン(レッド・ディアー)など
  • 毛質・毛の長さ ショート/スムース(短毛)
  • 抜け毛 少なめ
  • サイズ 超大型
  • 目安となる体高・体重 体高:雄(オス)65~75cm・雌(メス)60~68cm、体重:雄(オス)60~70kg・雌(メス)50~60kg
  • 一日に必要な散歩量 多め
  • 活発度 中程度

起きやすい病気/ケガ
遺伝などの要因で、正常な股関節が形成されていない股関節形成不全や目頭の裏側にある膜に存在する第三眼瞼腺が、膜から飛び出して炎症を起こすチェリーアイが好発します。ほかにも皮膚疾患がみられがちです。ときどき、歩行の様子や目、皮膚の状態をチェックするように心がけましょう。

歴史
ヨーロッパの多くのマスティフが、チベタン・マスティフの血を受け継いでいます。ナポリタン・マスティフも同様です。そのルーツは紀元前3000年前といわれますが、確かな記録では、アレクサンダー大王率いる古代ローマ軍で参加していた「モロッサス・マスティフ」という戦闘犬が直接の祖先です。イギリスのマスティフのように強靭な犬を作りたいということから、イタリアでも開発され、ナポリタン・マスティフの原型が誕生しました。南イタリアのナポリのブリーダーは、ナポリタン・マスティフを土地や財産の警備をする犬にするべく、実際の強さだけでなく、見た目の恐ろしさも故意に改良していきました。公式の場に初登場したのは1946年のナポリで、1949年にFCI(世界畜犬連盟)で公認されました。1995年にイギリス、2004年にアメリカで公認されました。

ドッグショーでの評価基準
頭部は大きく、短く、皮膚にはしわとひだがあり、スカルは幅広く、頂は平らです。ストップはたいへんはっきりしていて、鼻は大きく、色は毛色がブラックの場合は黒色。ほかの毛色の場合はダーク・グレイ・ブラウン。毛色がブラウンの場合はチェスナット色です。歯の咬み合わせは上の切歯の内側に下の切歯の外側がわずかに接するシザーズ・バイトか切端咬合です。目は丸く、わずかに奥まっています。色は被毛の色より濃く、薄い毛色の場合は、より明るい色です。耳は小さく、三角形で、頬に沿って平らについています。胴体は背のトップラインはまっすぐで、キ甲は幅広く、背も肋部も幅広です。尾は付け根は幅広で、太く、先端に向かって、やや先細ります。前肢の地面から肘までの部分は、横から見ても、前から見てもまっすぐです。後肢は大腿が体高の3分の1の長さで、デュークロー(狼爪)は切除しなくてはなりません。