パピヨン

コンチネンタル・トイ・スパニエルとも呼ばれるパピヨンは、フランス語の蝶(パピヨン)の名の通り、大きくて美しい飾り毛がついた耳が、羽を広げた蝶のように優雅で物静かな印象を与えます。しかし実際は、活発にはしゃぎ回る騒々しいくらい元気な犬です。大変賢く精神的にナイーブで、それが魅力のひとつです。美しい被毛の中でも、特に耳や胸、尾の飾り毛は、細く、からまりやすくなります。毎日のブラッシングで毛玉ができないように、きれいに毛並みを整えてあげましょう。
飼う際の注意点
  • 旅行・移動に対応する適応力:高め
  • 留守に対する適応力:高め
  • 子どもに対する適応力:高め
性格は?
屋外で散歩や運動をすることが大好きで、よく飼い主に一生懸命ついて歩く姿を見かけます。遊び好きで、それでいて穏やかで我慢強く知的です。しかし、やや神経質な面があり、それを幼いころから甘やかすと、わがままで攻撃的な犬になってしまいます。せっかく小型で、集合住宅向きの犬種ですが、かわいいからと、ぬいぐるみのように扱っていると、「自分が強いから、飼い主は恐れてかしずいてくれている」と錯覚してしまい、主導権を握ろうとする「アルファ・シンドローム」に陥りやすい犬種です。厳しくトレーニングするところは厳しく。愛情たっぷりに遊ぶときにはしっかりとメリハリをつけて育てていきましょう。
必要とされる運動量
超小型犬なので毎日の散歩は10分程度のものを3回ほど行えると理想的です。散歩は運動だけでなく、屋外の風や臭いを感じで感受性を高めたり、ほかの犬や人との触れ合いで社会性を養うことにも役立ちます。また、日光浴によって、健康な皮膚や被毛を維持するためにも重要なことなのです。
パピヨン
  • 原産国 フランス・ベルギー
  • 犬種分類 愛玩犬
  • 色・模様 地色がホワイトであれば、すべてのカラーが認められる
  • 毛質・毛の長さ ロングコート(長毛)
  • 抜け毛 少なめ
  • サイズ 超小型
  • 目安となる体高・体重 体高:約28cm、体重:2.5~5kg
  • 一日に必要な散歩量 少なめ
  • 活発度 少なめ

起きやすい病気/ケガ
小型犬ならではの膝蓋骨脱臼が多くみられます。また、チワワのように頭頂部の泉門が弱いこともあるので、頭部への強い衝撃は禁物です。成長過程での健康診断を行い、異常の早期発見に努めましょう。ほかに多発する病気に、白内障や眼瞼内反症、黒色被毛毛包形成不全、遺伝性難聴などがあります。

歴史
パピヨンの歴史は古く、すでに15世紀のイタリアの絵画には、パピヨンらしき犬が描かれています。もともとはスペインのスパニエルが祖先と考えられていますが、18世紀にはフランスのマリー・アントワネットにも愛され、宮廷内では、当時、パピヨンを自分の肖像がに取り入れるのが流行しました。後に、フランス人のブリーダーによって、現在の姿に完成されました。

ドッグショーでの評価基準
頭部スカルは、前から見ても横から見ても丸みを帯びすぎることはありません。ストップははっきりしていて、鼻は小さく黒く、丸い形ですが、上部はわずかに平らです。マズルの長さはスカルよりも短く、細くとがっていて、鼻筋はまっすぐです。歯の咬み合わせは上の切歯の内側に下の切歯の外側がわずかに接するシザーズ・バイトです。目はやや大きく、アーモンド型で色はダーク(暗色)です。耳は立ち耳と垂れ耳(ファレーヌ)があり、立ち耳は高く位置しています。耳の内側のラインは水平に対して45度です。耳の先はとがっていてはならず、耳の内側は細いウェーブ状の被毛に覆われ、外側は長い飾り毛に覆われています。垂れ耳は付け根の位置が高く、垂れ下がり、ウェーブのかかった長い被毛に覆われています。耳の先が垂れた半直立耳は重大な欠点と見なされます。首はほどよい長さで、うなじはわずかにアーチを描いています。胴体のトップラインは平らで、腰はわずかにアーチを描いています。胸は幅広く、胸底は深く、腹はわずかに巻き上がっています。尾は付け根の位置が高く、やや長く、十分な飾り毛があります。決して背上で巻いたり、水平に乗ったりしてはいけません。脚はまっすぐで、長すぎてはいけません。前脚は肩がよく発達していて、ボディに密着しています。後脚は足首の関節であるホック・ジョイント(飛節)がよい角度に曲がっていて、足は第3指が長めで、全体的に細長い兎足で、爪は黒が好ましいとされています。毛色は頭部にホワイトが大半を占めているのは欠点となります。