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なぜなにポリフェノール

最近TVやいろいろなところで耳にする“ポリフェノール”という言葉。
健康維持に役立つ成分ということのようですが、いったいどんなもの?何から摂れるの?
コーヒーポリフェノールの場合は?
このページではそのような疑問にお答えします。

ポリフェノールとコーヒー、その意外な関係?

ポリフェノールとは、植物が自身を活性酸素から守るために作り出す物質で、抗酸化物質の代表です。分子内にフェノール性水酸基(-OH)を複数(ポリ)もつ植物成分の総称なので、「ポリフェノール」と呼ばれています。ポリフェノールは、数千種類以上もあると言われています。植物に広く分布し、子孫を残すための種子や、紫外線による酸化ダメージから守る必要がある葉に、特に多く含まれます。

赤ワインやココアなどの他、お茶のカテキン、チョコレートのカカオポリフェノールなどが有名ですが、実は「コーヒー」には赤ワインと同じくらいたくさんのポリフェノールが含まれています。コーヒーに含まれるポリフェノールは、有名なカフェインよりも多いのです。最近の調査によると、日本人の食生活では、コーヒー、次いでお茶から最も多くのポリフェノールを摂っていて、すべての食品、飲料のうち、約半分がコーヒー由来であることもわかってきました*1,2。コーヒーの摂取により2型糖尿病や肝疾患の発症リスクが低減されるという疫学調査結果が国内外で多数報告されていますが*3,4、通常の食生活においても簡単に多くの抗酸化物質を摂取できる、コーヒーのポリフェノールの力ゆえの結果なのかもしれません。

ポリフェノールって?

コーヒーポリフェノール(クロロゲン酸類)

図1.コーヒーポリフェノール(クロロゲン酸類)

コーヒーポリフェノール(クロロゲン酸類)には、図のクロロゲン酸(5-カフェオイルキナ酸)の他、その類縁化合物が全部で9種類あります

コーヒーは赤道を挟んだコーヒーベルトとよばれる熱帯地域で育つ植物。熱く、そして強い紫外線の下で子々孫々生き延びる自然の知恵が、その種にポリフェノールをぎゅっと閉じ込めることだったのです。コーヒーに含まれるポリフェノールの代表は、コーヒーポリフェノール(クロロゲン酸類)です(図1)。コーヒーポリフェノールは、特に焙煎していないコーヒー豆(生豆、きまめ)に豊富に含まれています。

カラダも実は、“錆びている”?

ポリフェノールのように、酸化ダメージから自身を守る働きがある物質は、抗酸化作用を持つ物質、すなわち「抗酸化物質」と呼ばれています。

「酸化」とは、金属などが“錆びる”のと同じ現象。人間が生きていく上で、なくてはならない酸素ですが、体内に入った一部の酸素は、スーパーオキシドや過酸化水素などの、「活性酸素」に変化。これら「活性酸素」が細胞を傷つけ、またヒトの細胞に含まれる脂質を酸化して「過酸化脂質」を作るなど、身体に様々なダメージを与えると考えられています。

コーヒーポリフェノールと「美容」との関係が注目

紫外線は肌の大敵。紫外線は、細胞や肌線維へのダメージや、メラニン合成促進などによってシミやしわの原因になるだけでなく、炎症を誘発したり、免疫系を弱めたり、ひどい場合には遺伝子に損傷を与えて発がんの原因になったりします。肌の健康を考えるとき、紫外線を浴びない対策(UV対応クリームや着衣、日傘など)が重要です。紫外線によるダメージには活性酸素が密接に関係するため、抗酸化物質の可能性が注目されています。成人女性を対象に行った調査では、コーヒーポリフェノール摂取量が多いほど、紫外線によるシミが少ないという結果が得られています(図2)*5

コーヒーポリフェノール1日摂取量と紫外線シミの関係を表すグラフ

図2.コーヒーポリフェノール摂取量と紫外線シミの関係

首都圏在住30-60歳までの女性131名を対象に食事・飲料摂取調査と顔面画像解析による肌状態について検討したところ、コーヒーポリフェノール摂取量が多い群(150mg/day以上)は、低い群(50mg未満および50-150mg/day)よりも、紫外線シミ(メラニン分布)スコアが有意に低いという結果が得られています(*p<0.05)

コーヒーポリフェノールはカラダを巡る!

ポリフェノール代謝物

図3.コーヒーポリフェノールを多く含む
コーヒーのポリフェノール吸収性

健康な成人を対象に、コーヒーポリフェノールを多く含むコーヒーまたは緑茶を1日400ml摂取させ、血中に出現するコーヒーポリフェノール代謝物または茶ポリフェノール代謝物量を分析することにより各ポリフェノールの吸収性を解析したところ、コーヒー群で有意に高い吸収性が観察されました(p<0.005)

ポリフェノールの抗酸化力はもともと植物自身のためのもの。人間はこれを食べたり飲んだりしているわけですが、その恩恵もポリフェノールが吸収され、カラダの中に巡ってこそ受けられるのです。これまで、ポリフェノールは体にあまり吸収されないと考えられてきましたが、分析方法の進歩もあり、最近の研究では一部のポリフェノールは吸収されることがわかってきました。コーヒーの生豆に豊富に含まれるコーヒーポリフェノールは吸収性が高いことが示されています。コーヒーポリフェノールを多く含むコーヒー、あるいは緑茶を飲んだ場合に吸収されるポリフェノールの量を比較したヒト試験では、コーヒーポリフェノールも茶ポリフェノールも吸収されますが、通常の飲用状況ではコーヒーポリフェノールを飲んだ後の方が、吸収されるポリフェノールが有意に高いという研究結果が得られています(図3)*6。また、こうしたコーヒーを飲んだ場合、生体の酸化指標(脂質の酸化ダメージやたんぱく質の変性)が改善することもヒト試験で示されています*7。このように、コーヒーポリフェノールはカラダを巡り、そしてカラダの中で抗酸化力を発揮できる可能性が示唆されているのです。

もともとポリフェノールが豊富なコーヒー。健康維持に大きな貢献をしていることが、さまざまな研究によって証明されはじめています。吸収性が高いことから特に注目される生豆に多いコーヒーポリフェノール。コーヒーの魅力にますます注目です。

  1. *1 Fukushima Y et al., Coffee and green tea as a large source of antioxidant polyphenols
    in the Japanese population. J Agric Food Chem 2009; 57: 1253-59.
  2. *2 ネスレ調べ(第64回日本栄養・食糧学会にて発表、2010年5月)
  3. *3 van Dam RM. Coffee consumption and risk of type 2 diabetes, cardiovascular diseases, and cancer.
    Appl Physiol Nutr Metab 2008; 33: 1269-83.
  4. *4 Honjo S et al., Coffee consumption and serum aminotransferases in middle-aged Japanese men.
    J Clin Epidemiol 2001; 54: 823-29.
  5. *5 ネスレ調べ(第65回日本栄養・食糧学会にて発表予定、2011年5月)
  6. *6 Renouf M et al., Plasma appearance and correlation between coffee and green tea metabolites
    in human subjects. Br J Nutr 2010; 9: 1-6.
  7. *7 Hoelzl C et al., Instant coffee with high chlorogenic acid levels protects humans against
    oxidative damage of macromolecules. Mol Nutr Food Res 2010; 54: 1722-33.

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