高齢者がやせるのが心配…サルコペニアってなに?

2019.3.22

筋力が低下して、歩く速度が遅くなってきたら… サルコペニアかも?

「サルコペニア」とは、高齢期に見られる筋肉の量(骨格筋量)の減少と、筋力もしくは身体機能(歩行速度など)が低下した状態をいいます1)。高齢になると、噛んだり飲み込んだりする力(咀嚼・嚥下能力)の低下や、運動量の低下、病気などにより食事の量が減ることがあり、体重が減ってやせることで筋肉量が低下し、サルコペニアの状態になりやすくなります1)2)。「地域在住の65歳以上の1~29%の人がサルコペニアに該当し、施設入所高齢者では、14~33%がサルコペニアにあたる」という報告もあり1)、注意が必要です。

サルコペニアの状態になると、筋力の低下により体を動かしにくくなり、エネルギーを消費しなくなるためおなかがすかなくなります。そのせいでさらに食事量が減り、ますます動けなくなるという悪循環に陥り、要介護の状態を招く原因にもなります2)

サルコペニアが気になるときは「指輪っかテスト」でチェック

日常生活の中で、「階段の上り下りをするときに手すりにつかまって体重を支えないと疲れる」「青信号のうちに横断歩道を渡り切れない」「ビンやペットボトルのふたがあけにくい」などの状態が見られるようになったら、筋力の低下が考えられます2)。下のイラストを参考に、「指輪っかテスト」でサルコペニアの心配があるかどうかをセルフチェックしてみましょう1)2)

いつまでも元気に動き、生活を楽しむためにも、できるだけ食事からの摂取エネルギー量を減らさないこと、たんぱく質を積極的に摂り栄養バランスの良い食事を摂ること、適度な運動をするなど生活の中でなるべく体を動かすようにすること、生活習慣病の治療をきちんと続けることなどを心がけましょう1)

1.サルコペニア診療ガイドライン2017年版(日本サルコペニア・フレイル学会・日本老年医学会・国立長寿医療研究センター)

2.中村育子 知っておきたい高齢者の食と栄養 社会保険福祉協会(2018)