コーヒーを味わう
コーヒーの香り、酸味、コク、風味をじっくりと味わうにはコツがあります。
ここではその方法をご紹介します。
手を止めて、カップの中のコーヒーをじっくり味わってみる。そんなひとときを最後に過ごしたのはいつでしょう。
コーヒーの風味には様々な要素が影響します。コーヒーの生産地、豆の品種、栽培方法、果実から生豆を取り出す方法、ブレンドやローストの方法、抽出方法…これらはほんの一部ですが、その特徴を一つずつ知ることでコーヒーを五感で楽しめるようになります。
テイスティングの方法を知ることで、味から始まり広がるコーヒーの様々な表情を探ってみませんか。味わいへの理解を深める旅は、きっと実り多い旅になることでしょう。
テイスティングを学ぶのがはじめてならば、まずは4つのステップを知ることから始めましょう。香りを嗅ぐこと、すすること、口あたりを確認すること、その感覚を表現すること。
まずは香り。コーヒーを味わう前に、必ず香りを嗅いでください。カップを鼻に近づけて、深くその空気を吸い込みましょう。口が識別するのは甘味、塩味、苦味、酸味、うま味の5つですが、鼻は約1兆もの異なる香りを識別することができるのです。
次にすすります。恥ずかしがらずに、音を立ててしっかりコーヒーをすすってみましょう。コーヒーが舌だけでなく口蓋など口の中全体に広がり、どんな繊細な味でも感じやすくなります。
そして、口の中のコーヒーの味わいを確認します。口の中でどのように感じますか。重みや濃さはどうでしょう。舌のどの部分で味を感じますか。
さあ、これまでのステップで感じた感覚を自分の言葉で表現してみるのが最後のステップです。口の中で感じたことをどのような言葉で語ってみますか。その香り、風味、口あたりはいかがでしょう。舌でコーヒーの酸味は感じましたか。他の味わいを引き合いに出すとしたら、どんな味でしょう。
コーヒーをテイスティングする際に意識するのは、香り、酸味、コク、風味の4つです。これらの要素に一つずつ焦点を当て、自分の言葉で表現してみてください。その特徴をもとに、コーヒーの「テイスト プロファイル」が完成していきます。
「テイスト プロファイル」とは、どのように表現されるものでしょう。スターバックスのマスター テイスターによる実際の表現例をご覧ください。
「カカオや煎ったナッツのほのかな香りが、なめらかな口あたりとバランスのとれた豊かな味わいをつくっている」
さらにもう一つ。「土の香りに折り重なって、新鮮なハーブと余韻あるスパイスのほのかな香りが感じられる」
少し練習すれば、誰しも味わったコーヒーの経験からテイスティングの際に注目したい特徴が思い浮かぶようになるでしょう。まずは、スターバックス コーヒーの袋に記載されているテイスティング ノートを読んで、コーヒーの味わいの中にあるそのフレーバーを感じることから始めてみてはいかがでしょう。
おうちでコーヒーをいれる時は、一口すすって、
感じて、その味をしっかり意識してみてください。
口の中に広がるのはどんな味わいでしょう。
柑橘系の味わいを持つコーヒーは、
口にすると、オレンジやレモンのような凝縮された
生き生きとした感覚が、舌の上に広がります。
同じコーヒーでも抽出方法を変えることで、
また違った味わいが楽しめます。
比べてみましょう。
「アロマ」とは、立ちのぼる香りのこと。まずはコーヒーの香りを嗅いで自分なりに表現してみましょう。例えばほのかに感じるのは、チョコレートのアロマ?豊かなナッツのアロマ?それとも暖かいスパイスのアロマでしょうか。
コーヒーの香りを表現することに、間違った答えはありません。人間の鼻は、約1兆もの異なる香りを感知することができるのです。自分が感じている香りも、他の人にとっては違うものに感じるかもしれません。
「酸味」とは、コーヒーのテイスティングにおいてpH値のことではなく、舌がキュッと引き締まる感覚のことを指しています。この感覚は、舌の側面や先端で感じることができるものです。
コーヒーを愛する人の中にも、コーヒーに酸味があるとおいしく感じる理由をあまりよくご存知ない人もいるかもしれません。しかし、人気の高い高品質なコーヒーの多くが酸味という特徴を持っています。
この酸味を理解するにあたって、まずはコーヒーの口あたりを意識してみましょう。酸味の少ないコーヒーには、バナナやオートミールのように丸みを帯びたなめらかな感覚があります。一方酸味の強いコーヒーには、オレンジやレモンのように凝縮された生き生きとした感覚があるのです。
「コク」とは、コーヒーをすすったとき舌に感じる重みや濃さのこと。
より深く理解するためには、コクの表現である「ライトボディ」と「フルボディ」を知ることから始めましょう。コクが少なめな「ライトボディ」のコーヒーは、無脂肪牛乳のように薄く、舌に残る感覚や重さがほとんどありません。一方コクがしっかりある「フルボディ」のコーヒーは、無調整牛乳*のようにクリーミーで濃厚、舌の上に重厚なコクが残ります。
*乳脂肪4%程度の何も処理していない牛乳
今まであまり意識していなかった特徴かもしれませんが、この機会にぜひ感じてみてください。
「風味」とは、コーヒーの味わい全体を意味します。この風味を表現してみる時は、基本的なことから始めましょう。
例えばコーヒーに甘みを感じたら、それはチョコレートやキャラメルのような甘みでしょうか。あるいは、チェリーやラズベリーのような生き生きとしたフルーティーな甘みでしょうか。またそこにレモンやグレープフルーツ、ワインを思わせるような酸味や、ナッツやバニラのような風味を感じることはできるでしょうか。
最初は言葉での表現が難しくても、基本から入ることで少しずつ慣れていくことができるでしょう。
テイスティングすることでそれぞれのコーヒーを比べ、違いを知ることができます。香り、酸味、コク、風味という4つの要素を意識しながら、そのコーヒーをどう表現できるか考えてみてください。
まずは2種類のコーヒーを比較してみましょう。例えば、2つの異なる生産地のコーヒーを飲み比べて、どちらがより苦いか、どちらがよりコクがあるか、どんなアロマの違いを感じるか考えてみてください。
同じコーヒーを2つの異なる抽出方法でいれて、比較するのもいいかもしれません。いれ方によって、コーヒーの味の特徴に変化が感じられることでしょう。
さらにインスピレーションが必要だったら、スターバックスのテイスティング ノートも参考にしてみてください。
いろんなコーヒーの味わいを試して探求してみる上で大切なのは、飲むたびに一杯、一杯、時間を取ってじっくり味わうこと。奥深い味わいの世界を旅する中で、お気に入りが見つかり、どんなものが好きでなぜ好きなのかを、自分の言葉で語ることができるようになるでしょう。